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医薬品製造の環境負荷低減、商業スケールへの移行が課題に

欧州の共同プロジェクト「ETERNAL」が、連続生産や膜分離技術による溶媒・エネルギー削減効果を検証。実用化への課題を探る。

生産現場のシステムNAVI編集部
医薬品製造の環境負荷低減、商業スケールへの移行が課題に

この記事の要点: 医薬品製造におけるサステナビリティは、単なる環境問題を超えて、製造現場のオペレーションやコストに直結する課題となっています。欧州の共同プロジェクト「ETERNAL」は、連続生産や膜分離技術、デジタルツインなどを活用し、品質を維持しながら環境負荷を低減する検証を行いました。一部の技術はパイロット規模に達しているものの、商業スケールへの移行におけるコストやバリデーション(検証)の壁が浮き彫りになっています。

ニュースのポイント

  • 連続生産技術の導入により、溶媒使用量を約20〜40%削減できる可能性が示された
  • 有機溶媒ナノろ過(OSN)技術により、高価なパラジウム触媒の回収・再利用に成功
  • プロセスの簡素化や廃棄物削減が期待される一方、商業化に向けた投資回収率が課題

背景

医薬品製造は、大量のエネルギー、溶媒、原材料を消費し、高コストな廃棄物処理を伴います。さらに、有効化学成分が排水を通じて生態系に影響を与える懸念もあります。こうした背景から、欧州の資金援助プログラム「Horizon Europe」のもと、16の組織が参加する4年間のプロジェクト「ETERNAL」が立ち上げられ、製造プロセスのクリーン化と効率化の両立を目指した実証実験が行われました。

何が起きたのか

プロジェクトでは、Angelini Pharmaが固形製剤において従来のバッチ生産から二軸混練技術を用いた連続生産への移行をテストし、工程の簡素化と省エネルギー化を図りました。また、AstraZenecaは有機溶媒ナノろ過(OSN)技術を評価し、従来の蒸留プロセスと組み合わせることで溶媒リサイクル率を向上させました。さらに、OSNを用いて高価なパラジウム触媒を回収し、5回再利用しても90%以上の変換率を維持できることを実証しました。これにより、貴金属の購入コストと廃棄物処理コストを同時に削減できる道が開かれました。

製造業・生産管理への見方

日本の製造業や生産管理部門にとっても、本事例は「環境対策と生産性向上の両立」という重要な示唆を与えています。特に医薬品や化学品製造においては、バッチ生産から連続生産への移行による設備フットプリントの縮小や、高価な触媒の回収技術が直接的なコスト削減につながります。ただし、規制の厳しい医薬品業界では、プロセス変更に伴うバリデーション(適合性検証)のコストや、設備投資に対する回収期間(ROI)の算出が、現場導入の大きな判断基準となります。

現場で確認したいポイント

  • 自社工場において、バッチ生産から連続生産へ移行可能な工程があるか
  • 製造プロセスで使用する高価な触媒や溶媒の回収・再利用技術の導入余地はあるか
  • 環境配慮型プロセスへの変更に伴う、バリデーション費用と期間の見積もりは妥当か

確認しておきたい点

本プロジェクトでは溶媒削減や触媒回収の技術的成功が示されたものの、商業スケールにおける具体的な製造コスト削減率や投資回収期間(ROI)の数値は公表されていません。実務への導入検討にあたっては、自社の生産規模における個別検証が必要です。

出典情報

出典 Environment+Energy Leader
公開日時 2026-10-12T16:00:00-04:00
元記事 Environment+Energy Leaderで読む

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