この記事の要点: 米中対立の激化に伴い、ASEAN地域は中国製品の迂回輸出拠点であるとの疑念を米国から持たれるリスクに直面しています。この課題を解決するため、ASEANは従来の単純組み立てから、研究開発や設計、部品製造までを域内で行う「価値創造ハブ(Made in ASEAN 2.0)」への転換を模索しています。長年現地でサプライチェーンを築いてきた日本企業には、生産管理や技術移転を通じた共同創造の役割が期待されています。
ニュースのポイント
- 単純組み立てから設計・部品・生産までを域内で担う「Made in ASEAN 2.0」への移行
- 日本の生産管理、人材育成、技術移転の知見をEVや半導体などの次世代産業へ応用
- AFTAの深化や規格・認証の調和による、域内調達とサプライチェーンの統合推進
背景
ASEANは中国からの部品や中間財に深く依存しており、これが米国による迂回輸出の警戒を招いています。一方で、米国も自由貿易秩序から距離を置きつつあり、ASEANは米中どちらか一方に過度に依存しない産業基盤の構築を迫られています。中国からの調達を完全に遮断すれば自国の産業基盤が傷つくため、域内で実質的な加工を行い、独自の付加価値を証明できる仕組み作りが急務となっています。
何が起きたのか
「Made in ASEAN 2.0」構想では、中国を排除するのではなく、中国等から部品を調達しつつも、ASEAN域内で高度な加工や技術蓄積を行うことを目指します。これを支えるため、ASEAN自由貿易地域(AFTA)の深化や、非関税措置、規格・認証制度、通関システムの調和を進め、11カ国の市場を統一された生産スペースへと統合する方針です。さらに、共通対外関税(CET)の導入により、域内での部品・材料調達とサプライチェーンの形成を促進することが提案されています。
製造業・生産管理への見方
日本の製造業にとって、ASEANは長年投資を続けてきた重要な生産拠点です。今後は単に「ASEANで製造する」段階から、現地での研究開発や設計を含む「ASEANで価値を創造する」投資へのシフトが求められます。特に、日本企業が培ってきた生産管理のノウハウやサプライヤー育成力、技術移転の経験を、EV、半導体、デジタルソリューション、AI、グリーン転換(GX)といった次世代産業へ応用することが、現地サプライチェーンの強靭化と自社の競争力維持に直結します。
現場で確認したいポイント
- ASEAN拠点における現地調達率や、域内での実質的な加工プロセスの割合の確認
- EVや半導体、デジタル分野における現地エンジニアの育成と技術移転計画の策定
- 通関、規格認証、原産地規則など、域内制度の調和動向に合わせた物流・生産計画の見直し
確認しておきたい点
本記事で示された「Made in ASEAN 2.0」や共通対外関税(CET)などの構想は提言段階のものが含まれており、ASEAN加盟国間での制度調和や具体的な関税同盟の形成が実際にどの程度の速度で進展するかは未確定です。
出典情報
| 出典 | The Diplomat |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-09-23T18:54:00Z |
| 元記事 | The Diplomatで読む |