この記事の要点: 半導体製造において、プロセスのばらつきによるウェーハの廃棄(スクラップ)は生産性を下げる大きな要因です。米Lam Researchは、リソグラフィ工程後の測定値に基づいて次のエッチング工程のパラメータを自動調整する「フィードフォワード制御」の有効性をシミュレーションで実証しました。これにより、ウェーハの合格率は従来の60.82%から96.77%へと大幅に向上し、製造現場の歩留まり改善に大きく貢献します。
ニュースのポイント
- リソグラフィ後の測定値に基づき、後続のエッチング条件を自動で最適化する手法
- デジタルツインによる検証で、プロセスの工程能力指数(Cpk)が2.5倍に向上
- 合格率が60.82%から96.77%へ改善し、廃棄ウェーハの大幅な削減を実証
背景
最先端の半導体製造では、微細な寸法(CD)のわずかな変動が、ウェーハを次の工程に進めるか廃棄するかの分かれ道となります。従来のフィードバック制御は、規格外の欠陥が発生した後にしか対応できず、オープンループ制御ではばらつきを無視するため歩留まりが低下します。そこで、欠陥が発生する前に下流のプロセスを調整してウェーハを救済する、より予防的なアプローチが求められていました。
何が起きたのか
今回の検証では、同社の3D半導体プロセスシミュレータ「SEMulator3D」を使用し、リソグラフィからエッチングに至る工程をモデル化しました。リソグラフィ工程で発生した寸法のばらつきに対し、ウェーハごとに個別のレシピを適用するのではなく、寸法値に応じて3つのグループ(目標未満、目標通り、目標超過)に分類(ビン分割)しました。それぞれのグループに対して、エッチングの等方性パラメータを自動で調整するフィードフォワード制御を適用した結果、エッチング後の寸法標準偏差は約60%減少し、Cpkは0.2854から0.7135へと改善しました。
製造業・生産管理への見方
本技術は、製造現場における「手戻り(リワーク)や廃棄の削減」と「スループット(処理能力)」のトレードオフを解決する新たな視点を提供します。フィードフォワード制御の導入により、レシピの切り替えや処理時間の変動に伴う生産速度の低下(スループットの損失)が懸念されますが、シミュレーションでは合格率の向上がその損失を十分に補うことが示されました。具体的には、合格率が約96.8%まで向上することで、最大37.14%の生産速度低下が発生したとしても、最終的に時間あたりに得られる良品ウェーハの総数は従来を上回ります。
現場で確認したいポイント
- 前工程の測定データをリアルタイムに後工程の設備へ連携するシステム基盤があるか
- 測定データに基づいて加工条件を自動選択・変更できる設備仕様になっているか
- 歩留まり向上による利益が、レシピ切り替えに伴うタクトタイム低下の損失を上回るか
確認しておきたい点
本成果はデジタルツインソフトウェア「SEMulator3D」を用いたシミュレーション環境に基づく実証値であり、実際の量産ラインにおける物理的な設備特性やノイズの影響によっては、合格率の改善幅が異なる場合があります。
出典情報
| 出典 | Lam Research Newsroom |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-30T22:44:29Z |
| 元記事 | Lam Research Newsroomで読む |