この記事の要点: 東京理科大学、東京大学、三重大学の共同研究グループは、遷移金属ニオブ(Nb)を含む窒化アルミニウム(AlN)系半導体「NbAlN」を、窒化ガリウム(GaN)上に単結晶の極性ウルツ鉱型薄膜として作製することに世界で初めて成功しました。この新材料をバリア層に用いることで、GaN系ヘテロ構造の界面におけるシート電子密度を従来の3倍超に高めることが可能となり、次世代パワー半導体や高周波デバイスの性能向上に寄与します。
発表内容のポイント
- 遷移金属ニオブを含む極性ウルツ鉱型窒化物半導体「NbAlN」の作製に初成功
- GaN系ヘテロ構造の界面シート電子密度を、従来比3倍超となる1.7×10の13乗に増加
- 反応性スパッタエピタキシー技術を用い、原子レベルで結晶格子の連続性と極性を維持
発表の背景
高出力・高周波電子デバイスの基盤材料である窒化ガリウム(GaN)系半導体は、結晶構造に由来する分極を利用して界面に高密度な二次元電子ガス(2DEG)を形成します。これまでAlNにスカンジウムなどを添加して分極特性を制御する研究が進められてきましたが、金属的な結合を好む遷移金属のニオブを、極性ウルツ鉱型構造を維持したまま結晶内に取り込むことは、材料科学における大きな課題となっていました。
何が発表されたのか
研究グループは、反応性スパッタエピタキシー技術を用いてGaN基板上にNbAlN薄膜をエピタキシャル成長させました。原子レベルの観察により、ニオブを23%含む薄膜において、GaNと同じ金属極性を保ちながら結晶格子が途切れず連続していることを確認しました。さらに、このNbAlNをバリア層として導入したヘテロ構造を作製したところ、界面の電子移動度を高く保ったまま、シート電子密度を従来の約5.1×1012 cm−2から1.7×1013 cm−2へと3倍超に高めることに成功しました。
製造業・生産管理への見方
本成果は、次世代の省電力パワー半導体や高速通信向け高周波デバイス(HEMTなど)の製造プロセスおよび材料設計に革新をもたらす可能性があります。特に、デバイスの動作効率や出力を左右する「キャリア密度」を大幅に向上できるため、産業用電源、車載向け半導体、通信インフラ用高周波素子などの高性能化・小型化につながる技術として期待されます。また、スパッタリング技術をベースとした薄膜作製プロセスは、将来的な量産技術への応用展開を検討する上でも重要な知見となります。
現場で確認したいポイント
- NbAlN薄膜の結晶品質を維持できるニオブ含有量の限界値(現状は25%まで)
- 成長温度(675℃と775℃)による電子移動度やシート電子密度の変化と最適条件
- 実際のトランジスタデバイス試作における動作検証と、長期的な信頼性評価の進捗
確認しておきたい点
本成果は大学等の研究グループによる基礎研究段階のものであり、現時点で具体的な製品化や量産化のスケジュールは示されていません。今後は分極定数の測定やデバイス試作を通じた動作機構の解明が必要とされています。
関連リンク
- 発表企業サイト:東京理科大学の公式ウェブサイトです。
- 関連ページ:本研究成果に関する詳細なプレスリリース情報です。
- 発表企業のPR TIMESページ
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | 学校法人東京理科大学 |
| 発表日時 | 2026-09-07 10:00:02 |
| 元記事 | PR TIMESで読む |