この記事の要点: 電源モジュールメーカーのVicorは、AI分野の大手OEM企業に対し、同社の特許技術である「垂直電力給電(VPD)」に関する非独占的なライセンスを供与したと発表しました。この契約により、ライセンスを取得したOEM企業は、Vicor以外のサプライヤーからも同技術を用いた電源モジュールを調達できるようになり、AIコンピューティングやネットワーク処理向けプロセッサへの効率的な電力供給体制を構築可能になります。
発表内容のポイント
- プロセッサの近くまで効率的に給電し、従来の水平給電における「ラストインチ問題」を回避
- ライセンス取得により、非ライセンスサプライヤーからの調達時にも柔軟な対応が可能に
- 早期にライセンスを取得する企業に対して、より低いロイヤルティ料率を適用する制度を用意
発表の背景
AIアクセラレータや高性能コンピューティング(HPC)プロセッサの進化に伴い、低電圧かつ大電流の電力をいかに効率よくプロセッサへ供給するかが課題となっています。従来の水平電力給電(LPD)では、配線抵抗による損失やスペースの制約といった「ラストインチ問題」が発生していました。Vicorはこれに対し、10年以上の研究開発を経て、プロセッサの直下から電力を供給する垂直電力給電(VPD)技術を確立し、基盤特許を保有しています。
何が発表されたのか
今回のライセンス供与により、対象のOEM企業は、多層システム内に電圧レギュレータを積層するVPDソリューションを、ライセンスを持たないグローバルサプライヤーからも調達できるようになります。また、Vicor自身が製造する高電流密度のカレントマルチプライヤ(MCM)を用いた薄型・高効率なVPDソリューションの活用も可能です。Vicorから直接モジュールを調達する場合には、他社から調達する際のロイヤルティ料率について大幅な割引を受けられる仕組みも提供されます。
製造業・生産管理への見方
製造業のDXやスマートファクトリー化において、エッジAIやデータセンターの処理能力向上は不可欠な要素です。今回の発表は、これら超高性能プロセッサの安定稼働を支える電源供給技術の普及を促すものです。また、OEMやハイパースケーラーにとっては、Vicorの米国工場だけでなく、複数ソースからの調達(マルチソース化)が可能になるため、サプライチェーンの冗長性と拡張性が確保され、部品調達リスクの低減につながります。
現場で確認したいポイント
- 自社のAI関連機器や産業用PCの設計において、垂直電力給電(VPD)の採用メリットがあるか
- 電源モジュールの調達先を選定する際、特許ライセンスに関わる法的リスクや補償条項がクリアされているか
- 早期ライセンス取得によるロイヤルティ料率の優遇措置が、自社の調達コスト計画に影響するか
確認しておきたい点
非ライセンスサプライヤーとの供給契約に補償条項がある場合でも、特許侵害による輸入差止め措置などのリスクを完全に免れるわけではない点に注意が必要です。
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | Vicor株式会社 |
| 発表日時 | 2026-09-25 15:00:01 |
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