この記事の要点: 株式会社ヘンリーと医療法人正幸会 正幸会病院(56床)は、クラウド型電子カルテ「Henry」に生成AIを組み込み、記録業務のフローをAI前提に再設計する実証実験を実施しました。2026年4月から6月にかけて行われた検証の結果、医師や看護師、リハビリセラピスト、事務の4部門において、記録業務を全職種合計で月間約386時間削減できるとの試算を公開。業務工程そのものを減らすアプローチの有効性を示しました。
発表内容のポイント
- 作業の高速化ではなく、AI前提の運用により記録業務の工程そのものを削減
- 看護記録では、会話の録音とバイタル入力のみの2工程に集約し転記作業を排除
- 医師の退院サマリ作成時間が従来の約40分から約4分へと約90%短縮
発表の背景
医療現場では人手不足と経営難が深刻化しており、人材の確保や定着、経営改善が急務となっています。特に資金や人材の制約が大きい中小病院において、業務効率化は重要な経営課題です。しかし、従来の電子カルテシステムはオンプレミス型が多く、業務フローをAI前提で再設計した実証事例はほとんどありませんでした。こうした背景から、クラウドネイティブなシステムを活用した新たな業務モデルの構築を目指し、今回の実証実験が行われました。
何が発表されたのか
今回の実証実験では、単に既存の作業をAIに置き換えるのではなく、AIの活用を前提に業務フローを再設計しました。例えば従来の看護業務では、病室での観察後に紙へメモし、ナースステーションに戻ってカルテに転記するという5つの工程が発生していました。新フローでは、病室での会話を録音して文字起こしを行い、バイタルを入力するだけの2工程に短縮。カルテ画面から離れることなく、音声入力からサマリ生成までを一気通貫で処理する仕組みにより、転記や二重メモの工程自体を不要にしました。入力されたデータや音声はAIモデルの学習には利用されず、暗号化処理されます。
製造業・生産管理への見方
製造業の生産管理やDX推進においても、本件のような「AI前提の業務フロー再設計(リデザイン)」は非常に示唆に富む事例です。現場のデジタル化において、従来の紙の帳票や点検メモをそのままデジタルに置き換えるだけでは、転記や確認の手間が残り、本質的な効率化に至らないケースが多々あります。音声認識やデータ連携を前提として、現場での入力工程そのものを削減し、システムを移動せずに一連の処理を完結させるアプローチは、製造現場の作業日報作成や設備点検、品質記録の業務改善にも直接応用できる考え方です。
現場で確認したいポイント
- 自社の現場記録業務において、紙へのメモやシステムへの二重転記などの無駄な工程が残っていないか
- 導入しているシステムは、外部連携の手間なく一気通貫でデータを処理できる仕様になっているか
- 現場へのAI導入にあたり、入力データのセキュリティや学習利用の有無に関する規約が整備されているか
確認しておきたい点
本実証実験で示された月間約386時間の削減時間は試算値であり、56床規模の正幸会病院における実績値に基づいています。実際の導入効果は、各医療機関の施設規模、診療科、人員構成などによって異なる点に留意する必要があります。
関連リンク
- 発表企業サイト:株式会社ヘンリーの公式ウェブサイトです。
- 発表企業のPR TIMESページ:株式会社ヘンリーのプレスリリース一覧です。
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | 株式会社ヘンリー |
| 発表日時 | 2026-06-29 13:17:23 |
| 元記事 | PR TIMESで読む |