この記事の要点: ベトナムは2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)達成に向け、環境配慮型生産やハイテク農業への移行を急いでいます。過去5年間で同国はグリーン金融システムを段階的に整備し、国内銀行によるグリーン融資残高は約150兆ドン(約57.7億米ドル)に達しました。しかし、中小規模の生産者や協同組合が融資を受けるための担保要件や炭素クレジット評価などの課題も浮き彫りになっています。
ニュースのポイント
- ベトナムの主要銀行が廃棄物処理やDX、排出削減を支援する融資枠を設定
- 世界銀行の試算では、ネットゼロ達成に2050年まで3680億ドルが必要
- 中小企業や協同組合がグリーン融資にアクセスするための評価基準の確立が急務
背景
ベトナム国家銀行(中央銀行)が2015年に出した通達を起点に、BIDVやAgribankなどの主要銀行が環境配慮型プロジェクト向けの融資パッケージを導入してきました。これまでにドイツ国際協力公社(GIZ)と連携したメコンデルタでの低炭素米作・バイオエネルギー事業や、IoT・太陽光を活用したスマート農業への融資が実施されています。しかし、グリーン金融が資金調達全体に占める割合は依然として小さく、制度的な障壁が残っています。
何が起きたのか
グリーン金融の普及を阻む要因として、グリーンプロジェクトを特定するための統一された評価基準の欠如が挙げられます。これにより金融機関の審査やリスク管理が難航しているほか、多くの企業や金融機関自身もESG(環境・社会・ガバナンス)影響を評価する能力が不足しています。また、排出量の測定・報告・検証(MRV)システムの未整備や、炭素クレジットの価格設定メカニズムの遅れが、小規模事業者の資金調達を難しくしています。専門家は、IoTやAI、サプライチェーンのデジタル化を伴う資本集約型プロジェクトへの優遇融資制度の確立を求めています。
製造業・生産管理への見方
ベトナムに生産拠点を置く、あるいは同国の一次産品・原材料を調達する製造業にとって、現地のサプライチェーン全体の低炭素化とDXは避けて通れない課題です。ベトナム政府が推進するグリーン金融や、IoT・AIを活用したスマート生産への移行支援は、現地調達先や自社工場の環境負荷低減(スコープ3削減など)に直結します。今後、排出量の測定・報告・検証(MRV)システムやグリーンボンドの基準が整備されることで、現地パートナー企業の持続可能性と供給網の安定性が向上することが期待されます。
現場で確認したいポイント
- ベトナムの現地法人や調達先が、現地のグリーン融資や優遇税制の対象となるか確認する
- サプライチェーンにおけるIoT導入やデジタル化が、現地の環境基準に適合しているか精査する
- 現地の排出量測定・報告・検証(MRV)システムへの対応状況を調達先と共有する
確認しておきたい点
ベトナムにおけるグリーンプロジェクトの統一基準や、炭素クレジットの具体的な価格設定メカニズムは現在構築中であり、制度の変更や法整備の動向を注視する必要があります。
出典情報
| 出典 | Vietnam+ (VietnamPlus) |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-09-09T09:48:51+07:00 |
| 元記事 | Vietnam+ (VietnamPlus)で読む |