この記事の要点: 欧州の金属業界団体Eurometalは、中国の部品メーカーによるサプライチェーンの「植民地化」が進んでいるとして、欧州委員会に対し迅速な対策を求めています。同団体は、中国との競争激化により2026年後半だけで欧州の製造業において30万人の雇用が失われる可能性があると予測しており、ブリュッセルの欧州委員会本部周辺で象徴的な抗議活動を行う予定です。
ニュースのポイント
- 中国製部品の台頭により、2026年後半に欧州製造業で30万人の失職予測
- 中国は原材料供給から、金属や化学品を含む高付加価値な部品供給網の支配へ移行
- 欧州の関税や炭素税が域内メーカーのコストを押し上げ、中国勢との競争で不利に
背景
欧州連合(EU)と中国の間では貿易不均衡が深刻化しており、年間3600億ユーロに及ぶ不均衡の是正に向けて3か月の協議が行われています。EUはすでに中国製電気自動車(EV)や鉄鋼に対して追加関税を課していますが、中国側はこれを保護主義であると批判し、対抗措置を警告するなど緊張が高まっています。こうした中、欧州の製造現場ではエネルギーコストの高騰も重なり、大手自動車メーカーのフォルクスワーゲンが10万人規模の削減を発表するなど、雇用への影響が顕在化しています。
何が起きたのか
Eurometalのプレジデントであるアレクサンダー・ユリウス氏は、中国が5カ年計画に基づき、単なる原材料供給国から完成品および重要部品の供給国へとシフトしていると指摘しています。特に製造業の90%で使用される金属や化学品などのコンポーネント(部品)レベルで中国製への依存が進むと、バリューチェーン全体を支配される恐れがあります。欧州の金属メーカーは、鉄鋼輸入関税や炭素排出税などの環境規制コストを負担している一方、中国からの輸入部品にはこれらの課税が適用されず、人民元安も手伝って価格競争力で太刀打ちできない状況に陥っています。
製造業・生産管理への見方
日本の製造業や生産管理部門にとっても、この欧州の事態は対岸の火事ではありません。サプライチェーンにおける特定国への部品依存は、調達コストの最適化という短期的メリットをもたらす一方で、地政学的リスクや関税政策の変更によって一瞬にして調達難に陥るリスクを孕んでいます。特に金属や化学品といった基礎的な部材・部品レベルでの依存度が高まると、自国内での製造ノウハウや技術投資、ひいては産業全体のレジリエンス(回復力)が失われることになります。調達先の多角化と、付加価値の高い内製化プロセスの維持が改めて問われています。
現場で確認したいポイント
- 自社の主要製品に使用される金属や化学品などの部材について、中国依存度を把握しているか
- 欧州や米国などの関税措置や炭素国境調整措置(CBAM)が、自社のグローバル調達網に与える影響を評価しているか
- 代替調達先の確保や、国内・他地域でのサプライチェーン再構築に向けたBCP(事業継続計画)があるか
確認しておきたい点
本記事は欧州の業界団体Eurometalによる主張と予測に基づいており、実際の雇用削減数や市場への影響は、今後のEUと中国による貿易協議の結果や各国の政策対応によって変動する可能性があります。
出典情報
| 出典 | the Guardian |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-09-06T17:00:10.000Z |
| 元記事 | the Guardianで読む |