この記事の要点: 米航空宇宙大手プラット・アンド・ホイットニー(RTX傘下)がノースカロライナ州バンコム郡に建設したタービン翼製造工場への投資額が、当初計画の6億5,000万ドルから約10億ドル(約1,500億円)規模に拡大したことが明らかになりました。雇用者数も2027年目標の800人を前倒しで突破し、すでに1,000人に達しています。地域経済の多角化と高技能な製造業雇用の創出において、大きな成果を上げています。
ニュースのポイント
- 当初計画の6億5,000万ドルを大幅に上回る、累計約10億ドルの設備投資を実行
- 2027年目標の800人雇用を前倒しで達成し、現在は1,000人規模、最終1,200人へ
- 地元コミュニティカレッジと連携し、未経験者向けの製造業訓練プログラムを確立
背景
プラット・アンド・ホイットニーは2020年、バンコム郡に100エーカー(約40万平方メートル)の敷地、100万平方フィートの巨大なタービン翼製造工場の建設を発表しました。観光業への依存度が高かった同地域において、産業の多角化と災害に強い経済基盤の構築を目指し、州や郡から総額約1億ドル規模のインセンティブ(優遇措置)を受けて誘致されました。
何が起きたのか
同工場は、民間および軍用の航空機エンジン需要の増加を背景に稼働を本格化させています。2025年にはさらに2億8,500万ドルの追加投資と325人の新規雇用計画を発表しました。平均賃金は年7万3,824ドルに達し、地域の平均水準を大きく上回っています。また、地元コミュニティカレッジのA-B Techは、約2,920万ドルの連邦助成金を獲得し、同工場の隣接地に年間800人の産業人材を育成する訓練施設「Futures Factory」を建設する計画を進めています。
製造業・生産管理への見方
本事例は、先端製造業の誘致が地域経済のサプライチェーンや雇用に与える「乗数効果」の実例を示しています。航空宇宙エンジンのような高付加価値製造業では、1人の直接雇用が地域で1.78人分の雇用を支えると試算されています。また、製造現場の労働力不足に対応するため、企業が地元教育機関と連携して40時間の有給訓練プログラムを提供するなど、未経験者を即戦力化する「リスキリング」の仕組みは、日本の製造現場における人材確保やDX推進の教育体制構築においても非常に参考になります。
現場で確認したいポイント
- 地域の教育機関や自治体と連携した、独自の製造人材育成・採用ルートの有無
- 未経験者を採用した後に、短期間で現場に定着させるための教育カリキュラムの整備
- 設備投資や雇用創出に伴う、自治体からの補助金や税制優遇措置の活用可能性
確認しておきたい点
軍事用エンジン部品の製造も手掛けるため、一部の地域住民から軍事産業への加担に対する批判や抗議活動が起きています。また、多額の公的インセンティブ付与に対する「企業優遇」との批判に対し、雇用目標の達成度に応じた成果連動型の支給制度で説明責任を果たしています。
出典情報
| 出典 | Asheville Watchdog |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-09-05T19:46:23+00:00 |
| 元記事 | Asheville Watchdogで読む |