この記事の要点: 米国の老舗デニム生地メーカーであるコーン・デニム(Cone Denim)は、2026年末までに中国でのデニム製造事業を終了する計画を発表しました。同社はこの「戦略的転換」により、メキシコに確立している製造プラットフォームへの注力を強化します。地政学的リスクや世界的な貿易動向の変化、顧客の調達戦略の進化、コスト圧力といった課題に対応し、長期的な競争力を確保するための決断です。
ニュースのポイント
- 2026年末までに中国・嘉興市のデニム製造工場を閉鎖し、中国市場から撤退する計画
- メキシコのパラスおよびイェカピストラの既存拠点を中心とした製造体制へ移行
- 地政学的条件、貿易動向の変化、コスト圧力が中国事業の継続を困難にしたと説明
背景
コーン・デニムは現在、メキシコのパラスとイェカピストラ、および中国の嘉興に工場を運営しています。同社は親会社であるエレベート・テキスタイルズ(Elevate Textiles)を通じて事業を展開していましたが、昨年、パキスタンを拠点とするアーティスティック・ミリナーズ(Artistic Milliners)が株式の過半数を取得しました。今回の撤退は、グローバルなデニム市場や顧客の調達ニーズ、長期的な事業戦略を総合的に見直した結果として決定されました。
何が起きたのか
同社は中国工場の閉鎖について、経済・市場環境および地政学的条件が中国での製造維持を困難にしたと率直に認めています。これらの要因が中国におけるデニム製造の競争力と長期的な持続可能性に影響を与えたとしています。今後は、メキシコの製造プラットフォームを今後の主軸として位置づけ、品質、イノベーション、迅速な対応力、サービスレベルを維持していく方針です。既存顧客に対しては、短期的な生地供給の継続や将来の調達計画の移行を円滑に進めるため、直接対話を行いながらサポートを提供するとしています。
製造業・生産管理への見方
今回の事例は、サプライチェーンの再構築(ニアショアリングやフレンドショアリング)を象徴する動きと言えます。製造業の生産管理や調達部門にとって、地政学的リスクや関税、物流コストの上昇に伴い、従来の「中国集中型」の生産体制から、消費地に近いエリア(米国市場に対するメキシコなど)へのシフトが現実的な選択肢となっていることを示しています。特にアパレルやテキスタイル分野では、顧客の需要変化に迅速に対応するためのリードタイム短縮が求められており、生産拠点の地理的再配置は重要な経営判断となります。
現場で確認したいポイント
- 自社のサプライチェーンにおいて、特定の国や地域への依存度が高すぎる拠点がないか
- 地政学的リスクや関税の変動が、原材料調達や製造コストに与える影響を試算しているか
- 主要な生産拠点を移転・集約する際、既存顧客への供給継続性を担保する移行計画があるか
確認しておきたい点
本決定は2026年末までの完了を目指す移行計画であり、中国工場の具体的な閉鎖スケジュールや、メキシコ拠点への設備移管・増強に関する詳細な投資規模は現時点で明らかにされていません。
出典情報
| 出典 | WWD |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-09-03T17:39:58+00:00 |
| 元記事 | WWDで読む |