この記事の要点: 米国のフォード・モーターと中国の吉利汽車(ジーリー)は、欧州市場向け車両を共同生産する合弁会社を設立すると発表しました。生産拠点となるのは、近年稼働率が著しく低下していたフォードのスペイン・バレンシア組立工場です。新会社はフォードが66%、吉利が34%を出資し、2028年から両ブランドの新型車や電気自動車(EV)の生産を開始して、工場の稼働率を最大化することを目指します。
ニュースのポイント
- フォードが66%、吉利が34%を出資する合弁会社をスペインに設立
- 稼働率が約26%まで低下していたバレンシア工場を2028年から再活性化
- 吉利は欧州現地生産により、中国製EVに対するEUの関税措置を回避
背景
フォードのバレンシア工場は、かつて年間約50万台の生産能力を誇っていましたが、車種の生産終了に伴い2025年には稼働率が約26%(年間生産10万台未満)にまで落ち込んでいました。一方、中国の自動車メーカーは安価なEVを武器に欧州でのシェアを急速に拡大していますが、欧州連合(EU)による関税や将来的な現地調達率(ローカルコンテンツ)規制への対応を迫られていました。
何が起きたのか
この合弁事業により、バレンシア工場では2028年から複数の新型車が生産されます。フォード向けには、吉利と共同開発するプラグインハイブリッド(PHEV)を含む新型コンパクトクロスオーバーや、欧州市場向けのSUV「ブロンコ」を生産します。吉利向けには、すでに欧州で販売されている「EX5」を含む2車種の電動SUVを生産する計画です。これにより、フォードは工場の余剰能力を解消し、吉利は欧州内での生産拠点を確保して関税を回避する狙いがあります。
製造業・生産管理への見方
本件は、グローバルな地政学リスクや関税障壁に対し、自動車メーカーが既存の生産インフラを相互利用して最適化を図る先進的な事例です。自社単独では維持が困難になった大規模な組立工場を、競合でもある中国メーカーの生産委託(合弁)を受け入れることで高稼働に転換します。サプライチェーンの現地化(ローカルコンテンツ要件)への対応と、工場稼働率の維持を両立させる生産管理・アライアンス戦略として注目されます。
現場で確認したいポイント
- 海外の関税や現地調達規制が自社の生産拠点配置に与える影響の有無
- 自社工場の余剰能力(稼働率低下)を他社との協業で埋める選択肢の検討
- 複数メーカーの混流生産に対応できる生産ラインの柔軟性と管理体制
確認しておきたい点
この提携に対し、米国の下院中国特別委員会などから「中国のサプライチェーン支配を支援している」との強い批判が出ており、政治的・規制上のリスクが今後の障壁となる可能性があります。
出典情報
| 出典 | Autoweek |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-24T21:47:40Z |
| 元記事 | Autoweekで読む |