この記事の要点: モロッコ中央銀行(Bank Al-Maghrib)の年次報告書によると、2025年の同国内における現金流通量は前年比18.5%増の4,910億ディルハム(約539億ドル)に達しました。これは国内総生産(GDP)の28.5%に相当します。政府や中央銀行がデジタル決済の普及を進めているものの、依然として現金への依存度が高く、紙幣や硬貨の製造・管理・流通に伴うコスト負担が課題となっています。
ニュースのポイント
- 2025年のモロッコの現金流通量が前年比18.5%増となり、GDPの28.5%に到達
- 商業や建設・公共事業分野、非公式セクターでの現金取引の多さが需要を牽引
- 中央銀行は電子請求書の普及や政府支払いのデジタル化などによる現金削減を計画
背景
モロッコでは金融包摂が進んでおり、銀行口座を保有する成人の割合は2020年の53%から2024年には58%に上昇しました。また、2,260万枚の銀行カードと1,370万個の電子ウォレットが存在しています。しかし、2021年から2023年の非公式経済の規模はGDPの平均34%を占めており、2009年から2019年の30%から拡大していることが、現金依存から脱却できない背景にあります。
何が起きたのか
中央銀行の報告書によると、現金需要を押し上げている主な要因は、取引において現金が広く使われている商業、建設、公共事業などの経済活動です。さらに、不確実性に対する予防や貯蓄目的での現金保有も増加しています。中央銀行は、過度な現金使用が脱税や不正資金流出などのリスクを伴うと警告しており、紙幣・硬貨の製造や管理、流通にかかる多額のコストを削減するため、国家戦略のもとでの協調的な取り組みを呼びかけています。
製造業・生産管理への見方
モロッコ市場に進出している、または同国をサプライチェーンに組み込んでいる製造業や建設関連企業にとって、現地取引における決済手段の動向は重要です。特に建設や公共事業、現地の調達・流通プロセスにおいて現金決済が主流である事実は、取引の透明性や資金管理の効率化における障壁となります。中央銀行は今後、QRコードを用いた即時決済や電子請求書(e-invoicing)の利用拡大、政府支払いのデジタル化を計画しており、現地サプライヤーとの取引管理システムのデジタル対応が求められます。
現場で確認したいポイント
- モロッコ現地の取引先やサプライヤーとの決済方法において、現金依存によるリスクがないか
- 現地政府が推進する電子請求書(e-invoicing)やデジタル決済の導入スケジュール
- 現地の非公式セクターとの接触を避け、サプライチェーンの透明性を確保できているか
確認しておきたい点
本記事はモロッコ中央銀行の2025年次報告書に基づいた事実ですが、デジタル決済への移行が具体的にどの程度のスピードで進むか、また現地の製造業に直接与える影響の規模については個別企業の取引環境により異なります。
出典情報
| 出典 | northafricapost.com |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-23T21:47:21Z |
| 元記事 | northafricapost.comで読む |