この記事の要点: 人工知能(AI)インフラの急速な拡大に伴い、高帯域幅メモリ(HBM)の需要が爆発的に増加しています。主要メモリメーカーが生産能力をHBMへ優先的に割り当てているため、従来のDRAMの供給が圧迫され、価格の高止まりが続いています。市場調査会社などの予測によると、この需給逼迫は一時的なものではなく、新工場の稼働や生産プロセスの移行が進む2028年頃まで解消されない見通しです。
ニュースのポイント
- HBMのウェハ投入比率は2027年末までにDRAM全体の30%に達する見込み
- サムスン、SKハイニックス、マイクロンはHBM優先で通常DRAMの供給を制限
- 新工場の稼働や1cプロセスの導入による需給バランスの改善は2028年Q2以降か
背景
AI向けデータセンターの急増により、超高速なデータ転送を可能にするHBMの需要が急増しています。TrendForceの予測によると、主要メモリメーカー3社におけるHBM向けのウェハ投入比率は、2026年末の22%から2027年末には30%に上昇する見込みです。HBMは製造工程が複雑でウェハ消費量が多いため、その分だけ標準的なDRAMの生産能力が削られる構造になっています。
何が起きたのか
メモリ市場はサムスン(シェア約38%)、SKハイニックス(29%)、マイクロン(22%)の3社が主導しています。各社は設備投資を増やしているものの、その多くはHBMに特化しており、通常のDRAM供給は2027年末時点で需要の約60%しか満たせないとの予測もあります。サムスンとSKハイニックスは韓国で計800兆ウォン(約5180億ドル)規模の新規工場建設を進め、マイクロンも米国で拡張を進めていますが、設備の立ち上げや歩留まりの最適化には12〜24ヶ月を要するため、本格的な供給増には時間がかかります。
製造業・生産管理への見方
製造業や産業用機器、生産管理の現場において、PCやサーバー、制御装置、エッジAI機器などに組み込まれる汎用DRAMの調達コスト上昇とリードタイム長期化は避けられない課題となります。主要メーカーの投資がHBMに偏っているため、標準的なDDR5などのメモリ調達において、中長期的な調達計画の見直しや、部材確保のためのサプライヤーとの早期交渉が必要になります。また、2030年までにAI関連の設備投資の4割をメモリが占めると予測されており、ITインフラの導入コスト管理がより重要になります。
現場で確認したいポイント
- 自社製品や社内システムで使用する標準DRAMの調達リードタイムに遅延がないか
- メモリ価格の高騰を見込んだ製品原価の試算と、中長期の調達契約の締結検討
- 次世代の1cプロセス移行に伴う、採用部品の仕様変更や互換性の確認
確認しておきたい点
本記事に示された市場予測や投資額、需給バランスの回復時期は、UBSやモルガン・スタンレー、TrendForceなどのアナリストや調査機関による現時点での予測値であり、実際の市場動向や各社の設備投資の進捗によって前後する可能性があります。
出典情報
| 出典 | 24/7 Wall St. |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-19T16:06:29+00:00 |
| 元記事 | 24/7 Wall St.で読む |