この記事の要点: 世界的な人工知能(AI)ブームを背景に、電子機器の電流制御に不可欠な積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要が急増しています。中国・深圳の華強北市場では一部製品のスポット価格が数倍から数十倍に跳ね上がっており、AIサーバーや電気自動車(EV)向けなどの製造ラインで世界的な争奪戦が発生しています。主要メーカーの増産が追いつかず、今年後半には構造的な供給不足に陥るリスクが指摘されています。
ニュースのポイント
- AIサーバーやEVの需要急増により、MLCCのスポット価格が急騰している
- 次世代AIプラットフォームの設計変更で、基板1枚あたりのMLCC必要数が激増
- 主要メーカーは長期契約を優先しており、スポット市場では調達遅延や価格高騰が深刻化
背景
中国・深圳の電子部品市場では、高容量MLCCの価格が旧正月以降に2〜4倍、一部の特定型番では20倍以上に急騰しています。背景には、AIサーバーやEVなどの電力消費が多いプロセッサを支えるため、大量の電気エネルギーを蓄電・放電できる高性能MLCCの需要が世界的に急増している事実があります。日本や韓国の主要メーカーには注文が殺到しており、生産が追いつかない状況が続いています。
何が起きたのか
台湾の調査会社TrendForceによると、次世代AIプラットフォームの最終検証段階における頻繁な設計変更が、MLCCの必要数を劇的に増加させています。例えば、AMDのMI450プラットフォームでは、アルミニウム電解コンデンサなどからMLCCへの置き換えが行われた結果、基板1枚あたりの使用数が1,440個から10,544個へと約6.3倍に急増しました。さらに、GoogleやAmazon、Metaなどのテック大手が独自AIチップの生産を本格化させることで、需要は今年後半に新たなピークに達すると予測されています。
製造業・生産管理への見方
電子機器や制御基板を組み込む製造業の生産管理部門にとって、MLCCの調達難は製品の生産リードタイムに直結する深刻な課題です。大手メーカーは長期契約顧客への供給を優先しているため、スポット市場や二次代理店経由での調達に依存している中堅・中小の製造企業は、高額なプレミアム価格の支払いや、大幅な納入遅延に直面するリスクが高まっています。また、他社による防衛的な在庫積み増しや二重発注が、市場の混乱と価格高騰をさらに助長しています。
現場で確認したいポイント
- 自社製品に使用されているMLCCの仕様と、代替可能なメーカー・型番の有無を確認する
- 主要サプライヤーとの長期供給契約の状況を見直し、スポット調達への依存度を把握する
- 設計部門と連携し、基板設計の変更や部品選定の見直しによる調達リスク低減策を検討する
確認しておきたい点
スポット市場での価格急騰に対し、実際の取引件数は買い手の警戒感から停滞しているとの見方もあります。また、防衛的な二重発注による一時的な需要の過大評価が含まれている可能性に留意する必要があります。
出典情報
| 出典 | South China Morning Post |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-06-20T11:00:08+08:00 |
| 元記事 | South China Morning Postで読む |