現場経験から経営へ至る道程と「強いチーム」の本質

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海外の建設業界リーダーのキャリアパスは、日本の製造業における人材育成と組織づくりにも多くの示唆を与えます。本記事では、生産管理から経営管理へと至る過程で得られる「強いチームを築く価値」について、実務的な視点から考察します。

異業種に見る、製造業にも通じるリーダーシップの要諦

オーストラリアの住宅建設業界で、見習いからリーダーへとキャリアを築いた人物の経験談が、我々日本の製造業にとっても示唆に富む内容を含んでいます。彼は自身のキャリアを振り返り、生産管理、建設管理、そして最終的には経営管理へとステップアップする各段階で、「強いチームを築くことの価値」を学んだと語っています。これは、業種は違えど、モノづくりの現場から経営層に至るキャリアパスが一般的な日本の製造業において、大いに参考になる視点と言えるでしょう。

キャリアステージごとに変化する「チーム」の定義

彼の語る「生産管理」「建設管理」「経営管理」というステップは、日本の製造業におけるキャリアパス、例えば現場のリーダーから工場長、そして経営幹部へと至る道程と重ね合わせることができます。重要なのは、それぞれのステージで求められる「チームづくり」の意味合いが異なるという点です。

まず「生産管理」の段階では、担当するラインや部署のメンバーをまとめ、日々の生産目標を達成するための直接的なチームワークが求められます。ここでは、個々の作業者のスキルやモチベーションを高め、円滑な連携を生み出すことがリーダーの役割となります。

次に「建設管理」、我々の言葉で言えば工場全体の運営管理の段階では、視野を広げる必要があります。生産、品質、設備、安全など、複数の部署を束ね、工場全体としての一体感を醸成し、共通の目標に向かわせる、より大きな単位でのチームづくりが課題となります。部門間の壁を取り払い、横断的な協力体制をいかに築くかが問われるのです。

そして最終的な「経営管理」のステージでは、会社全体を一つのチームとして捉え、ビジョンや理念を共有し、持続的な成長を可能にする組織文化そのものを築き上げることが求められます。個別のチームの強化だけでなく、組織全体としての求心力を生み出す、より高度で抽象的なチームビルディングと言えるでしょう。

現場起点のリーダーシップがもたらす強み

このように、現場の生産管理からキャリアをスタートさせることの価値は、単に技術や工程に精通しているという点に留まりません。各階層で直面する課題を実体験として理解し、それぞれの立場で求められるチームづくりの要諦を段階的に習得できることに、その本質があります。現場を知るリーダーだからこそ、机上の空論ではない、実効性のある方針を打ち出すことができ、なにより現場で働く従業員からの信頼を得やすくなります。これは、日本の製造業が長年培ってきた強みの一つであり、改めてその価値を認識すべき点です。

日本の製造業への示唆

今回の事例から、我々日本の製造業が改めて留意すべき点を以下に整理します。

1. 現場経験の価値の再認識:
技術やプロセスの理解はもちろんのこと、現場でのチームマネジメントの経験は、その後のキャリアにおいて全ての意思決定の土台となります。若手・中堅社員に対し、現場でのリーダー経験を積む機会を意図的に提供することが、将来の経営人材育成の鍵となります。

2. 段階的なリーダーシップ教育の必要性:
係長、課長、部長、工場長といった役職に応じて、求められるチームビルディングのスキルは変化します。それぞれの階層で必要とされるマネジメント能力や視座を体系的に教育する仕組みを整備することが重要です。

3. 「強いチーム」は部門内にあらず:
優れたリーダーは、自部門だけでなく、組織全体を俯瞰し、部門間の連携を促進できる人物です。サイロ化を防ぎ、組織横断的なチームワークを醸成する文化づくりが、企業全体の競争力に直結します。

4. リーダー自身の学び続ける姿勢:
元記事の人物がキャリアの各段階で「学んだ」と述懐しているように、環境や役職の変化に対応し、常に学び続ける姿勢こそが、優れたリーダーの条件と言えるでしょう。過去の成功体験に固執せず、常に新しいチームのあり方を模索し続けることが求められます。

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