この記事の要点: 株式会社アイシン、東邦ガス株式会社、東洋建設株式会社、株式会社三井住友銀行の4社は、共同提案した「地域でのe-メタン製造供給を含む中小規模分散型カーボンリサイクルモデル実証」が環境省の令和8年度補助事業に採択されたことを受け、実証事業を開始しました。工場の排ガスから回収したCO2を液化・輸送し、合成燃料であるe-メタンの原料や、廃棄物処分場での中和剤として有効利用するサプライチェーンの構築を目指します。
発表内容のポイント
- アイシン西尾ダイカスト工場などの排ガスからCO2を回収・液化し、効率的な輸送を検証
- 回収CO2を原料に東邦ガス施設でe-メタンを製造し、都市ガス導管網で工場へ供給
- 東洋建設が主体となり、回収CO2を海面処分場の廃棄物や水の中和・固定に利用
発表の背景
製造業におけるカーボンニュートラル実現に向け、工場から排出されるCO2の回収・有効利用(CCU)が注目されています。しかし、中小規模の工場や負荷変動のある排ガス源からの効率的なCO2回収・液化や、回収後の広域な輸送・利用モデルの確立には課題がありました。本実証は、地域の複数企業が連携し、CO2の回収から合成燃料製造、さらには廃棄物処分場での固定化までを一貫したサプライチェーンとして構築することを目指して計画されました。
何が発表されたのか
本実証では、アイシン西尾ダイカスト工場やAGC愛知工場の排ガスからCO2を回収・液化し、低コストで安定した液化CO2の製造条件を確立します。回収したCO2は東邦ガスの知多e-メタン製造実証施設へ輸送され、合成メタン(e-メタン)に変換された後、都市ガス導管網を通じて再びアイシンなどの工場へ供給されます。また、液化したCO2の一部は衣浦港の廃棄物処分場へ運搬され、アルカリ性の廃棄物や処分場内の水の中和に利用されます。これにより、処分場の維持管理期間の短縮やコスト削減効果も検証されます。
製造業・生産管理への見方
本実証は、熱エネルギーを多く消費する鋳造(ダイカスト)などの製造現場において、排出されるCO2を自社工場内で循環利用する具体的なモデルを示しています。特に、中小規模で排出量の変動が大きい排ガス源を対象に、CO2の回収から液化までの装置仕様や運転条件を確立する取り組みは、多くの製造業にとって現実的な脱炭素ソリューションの選択肢となり得ます。また、回収したCO2をe-メタンとして都市ガス代替で再利用する仕組みは、既存の燃焼設備やガス導管インフラをそのまま活用できるため、工場側の設備投資を抑えたカーボンニュートラル化への貢献が期待されます。
現場で確認したいポイント
- 自社工場の排ガス温度や成分、排出量の変動幅が、CO2回収・液化装置の適用範囲内か
- 回収したCO2の輸送手段(気体・液体・ISOコンテナなど)と、その物流コストの妥当性
- e-メタンなどの合成燃料を都市ガス代替として導入する際の、供給安定性とコストバランス
確認しておきたい点
本実証は実証段階であり、中小規模の工場におけるCO2回収・液化装置の具体的な導入コストや、e-メタンの製造単価、実用化に向けた詳細なスケジュールについては現時点で明記されていません。今後の事業性評価や制度面の課題整理を注視する必要があります。
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | 株式会社アイシン |
| 発表日時 | 2026-10-09 13:26:19 |
| 元記事 | PR TIMESで読む |