この記事の要点: 日本曹達株式会社は、三谷産業グループのアクティブファーマ株式会社および東京大学と共同で、連続フロー合成プロセスを用いた抗リウマチ薬「イグラチモド」の効率的かつ持続可能な製造プロセスを開発しました。本技術は、ポリスチレン樹脂に固定化した有機触媒(NHC触媒)を活用するもので、従来の多段階かつ有機溶媒を多く使用するバッチ式製造プロセスに代わる、環境低負荷型の次世代原薬製造技術として期待されています。
発表内容のポイント
- 独自開発の固定化触媒により、24時間の連続運転と安定した反応性を実証
- インラインNMRによるリアルタイム解析を導入し、流量や温度を精密に制御
- フロー反応後の簡便な後処理と再結晶操作により、総収率75%で原薬を取得
発表の背景
関節リウマチ治療薬であるイグラチモドは医療現場での重要性が高まる一方、従来の製造法は多段階の工程を要し、有機溶媒の使用量が多いことから、環境負荷や生産効率の面で課題を抱えていました。こうした背景から、日本曹達と三谷産業グループが2023年に締結した「医薬・農薬製造における連続フロー法の実用化・事業化に向けた技術提携」に基づき、環境調和型で効率的な新しい製造プロセスの構築を目指した共同研究が進められました。
何が発表されたのか
今回の開発では、独自に設計した高耐久性のポリスチレン担持NHC触媒を採用しました。この固体触媒を用いることで、従来の固定化触媒を大幅に上回る耐久性を確保し、24時間の連続運転において約1.8gのイグラチモド前駆体を安定的に得ることに成功しました。さらに、反応装置にインラインNMRを接続してリアルタイム解析を行うことで、原料の流量や温度などの運転条件を精密に制御するシステムを構築。反応後は酸洗浄や再結晶などの簡便な後処理だけで、総収率75%という高い効率で原薬を回収できます。
製造業・生産管理への見方
医薬品や化学品の製造現場において、従来のバッチ式から連続フロー式への転換は、生産効率の向上や廃棄物削減、省スペース化を実現する製造業DX・プロセス革新の鍵とされています。本成果は、触媒の固定化技術とリアルタイム解析制御を組み合わせることで、連続フロー法の実用化における課題であった「長時間の安定運転」と「高い収率」を両立できることを示しました。今後は触媒のさらなる長寿命化やスケールアップ検討が進められる予定であり、他の医薬品原薬や農薬原体といった多品種の化学品製造プロセスへの応用展開が期待されます。
現場で確認したいポイント
- 連続フロー法への移行による、廃棄物削減量や製造コストの低減効果
- 実生産スケールへの拡張時における、触媒寿命や反応制御の安定性維持
- 他品種の原薬や化学品製造ラインへ本プロセスを応用する際の技術的要件
確認しておきたい点
本成果は研究室レベルでの連続運転(24時間、前駆体約1.8gの取得)およびプロセス実証の段階であり、実際の商業生産規模における稼働実績や、量産化に向けた具体的な設備投資額、稼働開始時期については現時点で明らかにされていません。
関連リンク
- 日本曹達株式会社 コーポレートサイト:発表企業である日本曹達の公式サイトです。
- 発表企業のPR TIMESページ
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | 日本曹達株式会社 |
| 発表日時 | 2026-08-07 11:00:02 |
| 元記事 | PR TIMESで読む |