この記事の要点: 欧州で開催された印刷展示会「Fespa 2026」では、従来のサイン・ディスプレイ用途を超え、製造業の生産プロセスに直接組み込める産業用印刷技術が多数披露されました。特に注目を集めたのが、クラウドを活用した生産管理システムや、AIを搭載したワークフローソフトウェアによる自動化の進展です。人手不足や多品種小ロット生産への対応を迫られる製造現場に対し、印刷工程の省力化と効率化を実現する具体的なソリューションが提示されています。
ニュースのポイント
- 立体物へ直接印刷するダイレクト・トゥ・シェイプ技術が進化し、製造ラインへの統合が視野に
- HPの「PrintOS Production Hub」など、クラウドによる注文・生産管理の一元化が進行
- Durstの「Kyveris」など、AIとロボットアームを連携させた完全自動化へのアプローチ
背景
Fespaはもともとスクリーン印刷の展示会でしたが、過去15年間でインクジェット技術を取り込み急成長を遂げました。近年は単なる看板印刷にとどまらず、ボトルやマグカップなどの立体物に直接印刷する「ダイレクト・トゥ・シェイプ」や、段ボールなどの産業資材への印刷へと領域を広げています。これにより、印刷会社だけでなく、製造業の工場が自社製品の加飾工程として印刷技術を導入する動きが活発化しています。
何が起きたのか
展示会では、生産管理と自動化を支援するソフトウェアの進化が際立ちました。HPは、注文と生産管理を一元化し、データ分析やジョブキューの追跡、ファイルの自動チェックを行うクラウド基盤「PrintOS Production Hub」を紹介しました。Agfaは、レイアウト自動化や配送先に応じた自動仕分け機能「StackFlow」を備えた「Asanti 8」を発表し、手作業の削減と納期短縮を提案しています。さらにDurstは、AIを活用したワークフローコンセプト「Kyveris Sandbox」を披露し、ロボットアームを用いた基材の搬入出など、工場全体の自動化(ライトアウト製造)に向けたシステム連携を示しました。
製造業・生産管理への見方
製造業や生産管理の視点において、印刷工程のデジタル化と自動化は、サプライチェーンの柔軟性を高める重要な要素です。特に製品への直接印刷技術(ダイレクト・トゥ・シェイプ)が産業レベルの生産量に対応できるようになれば、外注していた加飾工程を自社工場内に取り込み、リードタイムを劇的に短縮することが可能になります。また、AIやロボットを統合した印刷ワークフローは、プログラミングの専門知識や導入コストの壁を下げ、既存の生産ラインや生産管理システム(MES/MIS)とのシームレスな連携を容易にします。これにより、多品種少量生産における段取り替えのロスを最小限に抑えることができます。
現場で確認したいポイント
- 自社製品の加飾・ラベル貼り工程をデジタル印刷に置き換えることで、リードタイムや在庫を削減できるか
- 導入検討中の印刷機器が、既存の生産管理システム(MES)やERPとAPI経由でデータ連携可能か
- 後工程(カットや梱包など)とのロボット連携において、AIを活用した簡易な統合ソリューションがあるか
確認しておきたい点
ロボットアームを用いた完全自動化システムは、予期せぬトラブル発生時の対応や高度なシステム統合が必要となるため、導入コストや自社の技術水準とのバランスを慎重に見極める必要があります。
出典情報
| 出典 | Indian Printer & Publisher |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-09T09:00:06+05:30 |
| 元記事 | Indian Printer & Publisherで読む |