この記事の要点: 三菱電機株式会社は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する宇宙戦略基金の公募テーマにおいて、同社が代表機関を務める「国際競争力のあるフルデジタル通信ペイロードの開発」に対する補助金の交付決定を発表しました。本技術開発は、打ち上げ後も軌道上で機能や性能を柔軟に変更できる次世代の通信衛星用機器の開発を目指すもので、実施期間は2026年5月から2028年3月までを予定しています。
発表内容のポイント
- ソフトウエア書き換えにより、打ち上げ後も機能更新や通信制御の変更が可能
- DBF技術とDRA方式アンテナにより、地球全域を対象に柔軟なビーム照射を実現
- 高性能専用ASICの採用で、複雑な演算処理システムの小型化と低消費電力化を両立
発表の背景
近年、ユーザーの需要変動に合わせて、打ち上げ後も機能や性能を柔軟に変更できる通信衛星のニーズが高まっています。特に静止通信衛星の分野では、デジタル信号処理技術を活用してソフトウエアを書き換えることで、地域や時間帯による需要の変化に対応できるデジタル通信ペイロードが注目されており、欧米を中心に開発・製造が進められています。こうした背景から、日本の宇宙産業の自立性と国際競争力の強化に向けて本開発が始動しました。
何が発表されたのか
本開発では、JAXAの「技術試験衛星9号機」の開発ノウハウを活用し、通信の柔軟性と高いセキュリティー性を備えたシステムの構築を目指します。具体的には、DRA方式アンテナとDBF通信技術を組み合わせることで、通信対象エリアを地球全域に広げつつ、任意の方向へ柔軟にビームを照射します。また、デジタル信号処理装置(DPP)を搭載し、従来はハードウエアに依存していた通信制御をソフトウエアで実行。さらに、通信の秘匿化や妨害信号からの保護機能も備えます。これらの複雑な処理を静止衛星に搭載可能なサイズに収めるため、高性能な専用ASICを採用して小型・低消費電力化を図ります。
製造業・生産管理への見方
本プロジェクトは、最先端の電子部品・半導体技術や高度なシステム統合技術が求められる、製造業における極めて難度の高い開発事例です。特に、膨大かつ複雑なデジタル信号処理を衛星搭載可能なサイズと電力枠に収めるため、特定用途向けの専用IC(ASIC)を設計・採用するアプローチは、高度なハードウエア・ソフトウエア協調設計の好例と言えます。また、アジア最大級の衛星通信事業者であるスカパーJSAT株式会社が連携機関として参画し、2030年代の市場ニーズや具体的な利用シーンを設計段階からフィードバックする体制を構築しており、顧客起点での製品開発プロセスとしても注目されます。
現場で確認したいポイント
- 2028年3月までの開発期間における、試作や実証プロセスの進捗状況
- 高性能専用ASICの設計・製造における、国内サプライチェーンの関与度
- スカパーJSATとの連携による、具体的な市場ニーズの設計への反映状況
確認しておきたい点
本技術開発の実施期間は2028年3月まで(ステージゲート評価終了年度の末日まで)となっており、実際の衛星への搭載や商用化の具体的な時期、および開発されるASICの製造委託先などの詳細な仕様については、現時点では公表されていません。
関連リンク
- 三菱電機 プレスリリース詳細:本件に関する三菱電機の公式発表ページです。
- 三菱電機 コーポレートサイト:三菱電機の企業情報や事業内容を紹介するサイトです。
- 発表企業のPR TIMESページ
出典情報
| 出典 | PR TIMES |
|---|---|
| 発表企業 | 三菱電機株式会社 |
| 発表日時 | 2026-07-01 14:30:02 |
| 元記事 | PR TIMESで読む |