この記事の要点: 世界保健機関(WHO)は、医薬品製造企業や規制当局を対象に、環境サステナビリティの戦略と指標を製造工程に統合することを支援するガイドライン草案を公開しました。医薬品の製造活動は、エネルギー、水、原材料、溶媒の使用や、排出物・廃棄物の発生を通じて環境に影響を与える可能性があります。本ガイドラインは、製品の品質や患者の安全性、GMP要件への適合を損なうことなく、環境負荷を段階的に低減するための枠組みを示しています。
ニュースのポイント
- 品質や安全性、GMP適合を維持しながら環境サステナビリティを製造に統合する方針
- PMIやEファクター、エネルギー・水の使用強度、炭素排出量などの指標活用を推奨
- HVACシステム最適化やクリーンルーム管理、持続可能な設計プロセスの導入を提示
背景
医薬品製造における環境負荷への懸念が高まる中、WHOは国連の持続可能な開発目標(SDGs)などの国際的な枠組みに沿ったガイドラインを策定しました。全63ページに及ぶこの草案は、組織管理、持続可能な研究開発、設備やユーティリティの管理、廃棄物管理、そして環境サステナビリティ指標の活用など、多岐にわたる分野をカバーしています。2026年8月5日まで意見募集が行われています。
何が起きたのか
ガイドラインでは、製造企業が環境サステナビリティの取り組みを、変更管理、逸脱管理、是正・予防処置(CAPA)、バリデーション、供給業者適格性評価などの既存の品質システムに組み込むことを求めています。具体的な改善策として、HVAC(空調)システムの最適化、クリーンルームの風量調整、蒸気や圧縮空気、注射用水などのユーティリティシステムにおける損失最小化が挙げられています。また、開発段階からのアプローチとして、代替合成経路の評価、連続生産技術の採用、洗浄負荷の低減、環境負荷の低い包装の選択なども推奨されています。
製造業・生産管理への見方
医薬品製造業において、環境対策は単なる社会的責任にとどまらず、製造プロセス全体の最適化と直結するテーマとなっています。本ガイドラインは、プロセスマスインテンシティ(PMI)や化学プロセスの効率を示すEファクターといった具体的な指標を用いて環境パフォーマンスを測定することを求めており、生産管理部門にはこれらを既存の品質管理システム(QMS)と調和させながら運用する体制づくりが求められます。品質や供給継続性を妥協せずに省エネや廃棄物削減を達成するため、設備管理やプロセス設計の段階からのDXや技術革新が重要になります。
現場で確認したいポイント
- 自社の品質システム(変更管理やCAPAなど)に環境対策を組み込む手順があるか
- HVACシステムやクリーンルーム、各種ユーティリティのエネルギー損失や漏れを特定できているか
- 製造プロセスにおける原材料や溶媒の使用効率(PMIやEファクターなど)を測定しているか
確認しておきたい点
本ガイドラインは現時点では草案段階であり、2026年8月5日まで意見募集が行われています。同年9月の専門委員会に向けて改訂作業が進められる予定であるため、最終確定版の動向を注視する必要があります。
出典情報
| 出典 | raps.org |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-06-26T15:32:00-04:00 |
| 元記事 | raps.orgで読む |