この記事の要点: 英国の製造業界において、エネルギーコストの急激な高騰が深刻な影を落としています。業界団体Make UKと英国労働組合会議(TUC)の2026年6月の調査によると、英国の産業用電気料金は国際エネルギー機関(IEA)加盟国の平均を約90%も上回っており、多くの企業が資金繰りの悪化や投資の延期、さらにはエネルギーコストの安い欧州他国やアジアへの生産移転を検討せざるを得ない危機的状況に直面しています。
ニュースのポイント
- 英国の産業用電気料金はIEA平均の約1.9倍に達し、製造業の競争力を著しく阻害。
- 調査対象企業の25%が海外への生産移転を完了、または具体的に検討していると回答。
- 政府は2027年に支援策を拡充予定だが、根本的なコスト差の解消には至っていない。
背景
英国は他国に比べて発電を天然ガスに強く依存しています。北海ガスの減少やLNGへの依存、さらに2〜10日分という極めて限定的なガス貯蔵能力により、スポット市場の価格変動を直接受けやすい構造です。また、限界価格決定方式の市場制度により、高価なガス火力発電が全体の電気料金を押し上げています。さらに、再生可能エネルギー導入に向けた送電網投資の負担が、炭素税や賦課金として産業用電気料金に重くのしかかっています。
何が起きたのか
調査によると、英国の製造業が支払う電気料金は1kWhあたり平均約27ペンス(約0.36ドル)と、他先進国の平均16ペンスを大きく上回ります。このコスト負担により、調査対象企業の25%は手元資金が1年未満しかなく、10%が1年以内の倒産リスクを抱えています。すでに38%が投資計画を凍結・延期し、21%が人員削減に踏み切りました。特に化学、鉄鋼、ガラス、セメントといったエネルギー集約型産業への打撃が深刻で、産業の空洞化(脱工業化)が懸念されています。
製造業・生産管理への見方
製造業において、エネルギーは生産コストに直結する極めて重要な要素です。英国の事例は、インフラの老朽化対策や再エネ移行に伴う送電網投資のコストが、そのまま工場の運営費を圧迫するリスクを示しています。グローバルに展開する製造業にとって、エネルギー調達の安定性とコスト優位性は、工場をどこに配置するかを決定する最重要ファクターの一つです。サプライチェーンの再構築や生産拠点の選定において、現地のエネルギー政策やインフラコストの動向を注視することの重要性を物語っています。
現場で確認したいポイント
- 自社拠点や主要サプライヤーが位置する国・地域のエネルギー調達コストの推移を把握しているか。
- 再エネ移行やインフラ更新に伴う賦課金など、将来的な電気料金の上昇リスクを織り込んでいるか。
- エネルギー高騰時に備え、生産プロセスの省エネ化や自家発電などの代替手段を検討しているか
確認しておきたい点
英国政府は2027年に「英国産業競争力計画(BICS)」を導入し、エネルギー集約型企業への賦課金免除などで電気料金を最大25%削減する方針ですが、他国との根本的なコスト差を埋めるには至らないとの見方もあります。
出典情報
| 出典 | OilPrice.com |
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| 公開日時 | 2026-06-21T18:00:00-05:00 |
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