海外の法規制違反事例に学ぶ、製造業のグローバル・コンプライアンス体制の重要性

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米カリフォルニア州で、州法に違反する製品を販売した製造業者が法的措置を受けました。この一件は、グローバルに事業を展開する日本の製造業にとって、サプライチェーン全体での法規制遵守とリスク管理のあり方を改めて問いかけるものです。

事案の概要:カリフォルニア州における特定製品の規制違反

先日、米カリフォルニア州の当局が、州法で消費目的の製造・販売が禁止されているクラトム(Kratom)という植物由来の製品を繰り返し販売していた製造業者に対し、法的措置を開始したとの報道がありました。この事案は、特定の製品に関するものですが、その背景には、海外で事業を行うすべての製造業にとって共通の重要な教訓が含まれています。

複雑化する海外の法規制とサプライチェーンリスク

特に米国のように、連邦法と州法が並存し、さらに州ごとにも規制内容が大きく異なる市場では、法規制の遵守は極めて複雑な課題となります。今回のクラトムのように、ある州では合法でも、別の州では厳しく規制されているというケースは、食品、健康補助食品、化学物質、電子機器など、様々な分野で見られます。日本国内の常識や単一の法体系を前提に事業を進めることには、大きなリスクが伴います。

こうした規制は、最終製品の販売者だけが注意すればよいというものではありません。原材料の供給元、部品メーカー、製造委託先、そして自社の製造拠点まで、サプライチェーンに関わるすべてのプレイヤーが、最終消費地の法規制を理解し、遵守する責任を負います。一つの环节でのコンプライアンス違反が、サプライチェーン全体の停止や、製品回収、巨額の罰金といった深刻な事態を招きかねません。

製造現場と品質管理部門が留意すべきこと

グローバル市場向けの製品を製造する工場では、仕向地の法規制を製品仕様に正確に落とし込むプロセスが不可欠です。設計・開発部門からの指示を待つだけでなく、製造部門や品質管理部門からも、規制適合性の観点でフィードバックを行う体制が望まれます。例えば、特定の化学物質の使用禁止、リサイクル材の含有率義務、製品表示の細かな要件など、製造プロセスや品質検査に直接関わる規制は数多く存在します。

品質管理の役割も、単に製品の物理的な品質や性能を保証するだけでなく、法規制や各種認証への適合性を保証するという、より広範な意味合いを持つようになっています。製品の成分分析データの管理、規制物質の非含有証明、適切なラベル表示の確認などは、製造物責任(PL)リスクを回避する上でも極めて重要な業務です。

日本の製造業への示唆

今回のカリフォルニア州の事例は、決して対岸の火事ではありません。日本の製造業がグローバル市場で信頼を維持し、持続的に成長するために、以下の点を改めて確認することが求められます。

1. グローバルな法規制の動向把握と共有体制の構築
輸出先の国や地域、特に米国の州ごとのような複雑な法体系を持つ市場の規制を、継続的に監視・把握する専門部署や外部専門家との連携が不可欠です。得られた情報は、法務部門だけでなく、開発、購買、製造、品質保証、営業といった関連部署に迅速かつ正確に共有される仕組みを構築する必要があります。

2. サプライチェーン全体でのコンプライアンス管理
自社のコンプライアンス遵守はもちろんのこと、仕入先や製造委託先に対しても、契約や定期的な監査を通じて、規制遵守を求めることが重要です。サプライヤー選定の基準に、法規制への対応能力や管理体制を明確に含めることも有効な手段となります。

3. リスクの未然防止としての設計・開発プロセス
製品の企画・設計段階で、主要なターゲット市場の法規制を網羅的に洗い出し、製品仕様に反映させる「コンプライアンス・バイ・デザイン」の考え方が重要です。後工程での手戻りや、市場投入後の問題を未然に防ぐ上で最も効果的です。

4. 現地情報の重要性
現地法人や代理店、顧客から寄せられる、法規制の変更や運用に関する生きた情報は非常に貴重です。現地の情報を本社へ吸い上げ、全社的なリスク管理に活かすためのコミュニケーションチャネルを確立しておくことが、不測の事態への迅速な対応を可能にします。

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