カナダ・ケベック州で隔年開催される主要な製造技術展示会「モントリオール製造技術ショー(MMTS)」が、本年5月に開催されます。本稿では、この展示会が示す北米の製造業トレンドと、それが我々日本の製造業にとってどのような意味を持つのかを解説します。
カナダ東部の製造業を代表する技術展
モントリオール製造技術ショー(MMTS)は、カナダ東部における最大級の製造業向けイベントとして知られています。工作機械や金属加工、自動化技術、設計、エンジニアリングといった幅広い分野を網羅し、現地の製造業関係者が最新の技術やソリューションに触れる重要な機会となっています。もとの記事では開催年が「2026」と記載されていましたが、これは誤記と思われ、公式サイトによれば直近の開催は2024年5月14日から16日の予定です。開催地であるケベック州は、航空宇宙産業をはじめとする先進的な製造業が集積しており、地域全体の技術動向を反映する場としても注目されています。
自動化とデジタル化が示す、喫緊の課題
近年のMMTSで特に焦点となっているのは、やはり「自動化・ロボティクス」と「デジタル変革(DX)」の分野です。これは、北米の製造業もまた、日本と同様に深刻な熟練労働者不足という課題に直面していることの表れと言えるでしょう。省人化や生産性向上に直結する協働ロボットや各種自動化システム、そしてスマートファクトリーを実現するためのIoTソリューションやデータ活用ソフトウェアなどが主要な展示品目になると予想されます。加えて、積層造形(3Dプリンティング)技術も、試作から少量生産、補修部品の製造といった用途で存在感を増しており、サプライチェーンの柔軟性を高める手段として関心が寄せられています。
日本の製造現場から見たMMTSの意義
海外の展示会と聞くと、大手企業や輸出関連企業向けの話と捉えられがちですが、MMTSのような地域に根差した展示会からは、多くの実務的なヒントを得ることができます。例えば、現地の企業がどのような規模の、どのような価格帯の自動化ソリューションを導入しようとしているのかを観察することで、自社の設備投資計画の参考になるかもしれません。また、北米市場はサプライチェーンの再編(ニアショアリング)の動きが活発であり、それに伴う設備投資需要も高まっています。現地の工場がどのような技術を求めているのかを知ることは、北米市場への部品供給や技術提供を考える上で、極めて重要な情報となります。
日本の製造業への示唆
本イベントは、我々日本の製造業関係者にとって、以下の点で示唆に富むものと考えられます。
1. グローバルな課題解決のヒント
人手不足への対応としての自動化、多品種少量生産への柔軟な対応、サプライチェーンの強靭化といった課題は、日本と北米で共通しています。海外の現場でどのようなソリューションが評価され、導入されているかを知ることは、自社の課題解決に向けた新たな視点をもたらしてくれるでしょう。特に、中小企業でも導入可能な現実的な価格帯の技術やシステムは、注目に値します。
2. 北米市場のニーズの把握
北米市場への進出や取引拡大を検討している企業にとって、MMTSは現地のニーズや技術レベル、競合の動向を肌で感じる絶好の機会です。完成品メーカーだけでなく、現地の製造現場を支える設備メーカーやシステムインテグレーターとの接点を持つことで、より具体的な事業機会を探ることが可能になります。
3. 技術トレンドの定点観測
世界的な展示会とは異なり、地域に特化した展示会は、その地域の製造業が直面する現実的な課題と、それに対する「地に足の着いた」解決策が集まります。最先端すぎる技術だけでなく、現場で今まさに求められている実用的な技術の動向を把握する上で、MMTSのような展示会は非常に価値のある情報源と言えるでしょう。


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