タイ製造業PMI、12月は改善も依然50割れ – 現地サプライチェーンの動向に注視を

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S&Pグローバルが発表した2023年12月のタイ製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月から上昇し、景況感の悪化ペースが緩やかになったことを示しました。しかし、依然として好不況の分かれ目である50を下回っており、本格的な回復には至っていない状況です。

2023年12月のタイ製造業PMIの概況

S&Pグローバルによると、2023年12月のタイの製造業PMIは48.9となり、11月の46.5から上昇しました。PMIは50を上回ると景気拡大、下回ると景気縮小を示す指標であり、今回の結果は依然として縮小局面が続いているものの、そのペースは緩やかになったことを意味します。この改善は、主に新規受注と生産高の減少ペースが鈍化したことによるものです。

東南アジアの主要な生産拠点であるタイの景況感は、多くの日系企業にとってサプライチェーンや販売先の動向を把握する上で重要な指標です。今回の数値は、現地の景況が最悪期を脱しつつある可能性を示唆していますが、楽観視はできない状況と言えるでしょう。

指数の内訳から見る現場の実態

PMIの内訳を詳しく見ると、現地の製造業が置かれている複雑な状況が浮かび上がります。

・新規受注と生産高:減少ペースは鈍化したものの、依然としてマイナス圏にあります。これは、国内外の需要が本格的に回復するには至っていないことを示しています。特に、世界経済の減速懸念が、輸出向けの受注に影響を与えている可能性が考えられます。

・雇用:雇用の減少ペースも緩やかになりました。急激な生産調整の局面は過ぎつつあるものの、企業が積極的な採用に転じるほどの需要回復には至っていない様子がうかがえます。

・コストと価格:原材料などの投入コストの上昇は緩やかでしたが、一方で販売価格はわずかに低下しました。需要の弱さから価格転嫁が思うように進まず、企業の収益性を圧迫している状況が推察されます。現地法人の損益管理においては、引き続き厳しい舵取りが求められそうです。

・企業心理:今後の生産見通しに関する企業の景況感は、わずかに低下したものの、依然として楽観的な水準を維持しています。短期的な需要の弱さの中でも、中長期的には回復に向かうとの期待が根強いことを示しています。

日本の製造業への示唆

今回の調査結果は、タイに生産拠点やサプライヤーを持つ日本の製造業にとって、いくつかの重要な示唆を与えてくれます。

1. 現地サプライチェーンの継続的なモニタリング:
タイの製造業全体としては改善傾向が見られるものの、依然として縮小局面にあります。特に、体力の弱い中小のサプライヤーは、依然として厳しい経営環境に置かれている可能性があります。サプライヤーの生産能力や財務状況、納期遵守率などを定期的に確認し、サプライチェーンの寸断リスクに備えることが重要です。

2. 慎重な需要予測と生産計画:
景況感の改善は良い兆候ですが、本格的な需要回復にはまだ時間がかかると見るべきでしょう。過度に楽観的な生産計画は、過剰在庫のリスクを高めます。現地の市場動向や顧客からの内示を注意深く分析し、実需に基づいた慎重な生産・在庫計画を継続することが求められます。

3. 現地法人の収益性管理の強化:
販売価格の低下傾向が見られることから、現地法人の収益管理は引き続き重要な課題です。コスト削減努力を継続するとともに、付加価値の高い製品の提案や、非価格競争力の強化といった取り組みが一層重要になります。為替の動向も注視し、収益への影響を最小限に抑える対策も必要です。

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