先に結論
「製造業 人材紹介 派遣 違い」は、恒常戦力=人材紹介、繁忙期の波動対応=派遣、工程ごとの外部化=請負、採用運用の効率化=RPOが原則。意思決定は【雇用主は誰か/指揮命令はどこか/成果責任は誰か/期間とコスト】の4軸で判断します。
この記事のゴール(迷わない使い分け)
製造現場の採用リーダーが、状況に応じて「人材紹介/派遣/請負/RPO」を選べるよう、違い・費用・リスク・KPI・意思決定フローをひとまとめにします。主KW「製造業 人材紹介 派遣 違い」に完全適合させ、PAA(他の人はこちらも質問)想定のFAQも収録。
4つのモデルの定義と仕組み
人材紹介(有料職業紹介)
- 雇用主:貴社(正社員・無期雇用が中心)
- 料金:理論年収×料率(目安25〜35%)
- 支払:入社決定時の成功報酬
- 強み:恒常戦力・専門職・管理職。地方工場や交替勤務でも条件設計次第で母集団確保
- 典型用途:生産技術/品質保証/設備保全/設計/SCM の即戦力確保
派遣(労働者派遣)
- 雇用主:派遣元(指揮命令は貴社)
- 料金:時給(または月額)×稼働時間(マージン含む)
- 支払:月次
- 強み:繁忙の波動吸収、欠員補充、短期の人時確保
- 典型用途:検査・梱包・軽作業、期間限定のライン増強
請負(アウトソーシング)
- 雇用主:請負先(指揮命令は請負側、成果責任は請負側)
- 料金:工程・ボリュームに対する出来高/定額
- 支払:契約条件に基づく出来高・月次
- 強み:工程単位の外部化、品質・納期まで一体で委託
- 典型用途:サブ工程の丸ごと外部化、検査工程の品質保証込み委託
RPO(採用代行)
- 雇用主:貴社(RPOは採用運用を代行)
- 料金:月額フィー+成果報酬のハイブリッドが一般的
- 支払:月次
- 強み:求人票作成、母集団形成、面接調整、ダッシュボード化など運用効率化
- 典型用途:多拠点・多職種の定常採用、コスト構造の平準化
一目で分かる比較表
比較軸 | 人材紹介 | 派遣 | 請負 | RPO |
---|---|---|---|---|
雇用主 | 貴社 | 派遣元 | 請負先 | 貴社 |
指揮命令 | 貴社 | 貴社 | 請負先(貴社は不可) | 該当なし(採用運用) |
成果責任 | 従業員として貴社 | 稼働の提供 | 納期・品質など成果 | 採用運用KPI |
コスト構造 | 年収×料率(成功報酬) | 時給×稼働(マージン込) | 工程出来高/定額 | 月額フィー+α |
支払タイミング | 入社時 | 月次 | 契約条件に依拠 | 月次 |
期間適性 | 中長期・恒常戦力 | 短期・繁忙期 | 中長期(工程委託) | 中長期(運用改善) |
向く用途 | 専門職・管理職 | 欠員・繁忙の波動吸収 | 工程の外部化 | 多拠点の採用運用 |
主な注意点 | 返金条件の明確化 | 同一労働同一賃金、過長期化 | 偽装請負の回避(指揮命令禁止) | 目標KPIの定義 |
コスト比較(モデル計算の目安)
- 人材紹介:年収600万円 × 30% = 180万円(成功時のみ発生)
- 派遣:時給2,200円 × 160時間 × 3か月 = 105.6万円(月次)
- 請負:検査1万個 × 40円/個 = 40万円(出来高・品質保証込み)
- RPO:月額50万円 × 6か月 = 300万円(選考リードタイム短縮や歩留まり改善が前提)
コストは「必要な成果」「期間」「スピード」次第で逆転します。恒常戦力なら人材紹介、期間限定の人時なら派遣、工程丸ごとなら請負、採用業務の仕組み化ならRPOが費用対効果を出しやすい構造です。
意思決定フローチャート(テキスト版)
- 雇用主を自社にしたいか
→ Yes:自社雇用前提。恒常戦力が必要? → Yes:人材紹介 / No(まず仕組み化):RPO
→ No:工程の成果まで委託したい? → Yes:請負 / No(人時のみ確保):派遣 - 期間は3か月以内の波動対応か
→ Yes:派遣(または短期請負)
→ No:恒常戦力なら紹介、運用の継続改善はRPO - リスクと統制はどちらを優先?
→ 自社統制:紹介/RPO
→ 外部責任:請負
→ 柔軟な人時:派遣
シナリオ別の最適解
- 新ライン立上げ(6〜12か月、専門職多数):人材紹介+RPO(母集団強化)
- 繁忙期の3か月限定増員:派遣(固定シフトと教育計画を事前に共有)
- 検査工程の品質KPIまで含めて外部化:請負(成果定義と検収基準を明確化)
- 多拠点・多職種の通年採用:RPO(求人票標準化、SLA、ダッシュボード)
契約・コンプライアンスの要点(現場で揉めないために)
- 人材紹介:返金保証の期間・返金率・除外条件、請求タイミング(入社日か就業開始日か)
- 派遣:同一労働同一賃金の対応、教育・安全配慮、過度な長期利用の見直し
- 請負:偽装請負の回避(貴社からの直接指揮命令は不可)、検収基準と再委託の可否
- RPO:KPI(TTF、通過率、承諾率、採用単価)のSLA化、データ所有権・個情法対応
失敗パターンと回避策
- 目的と手段が逆転:恒常戦力なのに派遣で長期運用 → 年単位なら紹介や請負へ設計変更
- 成果定義が曖昧:請負で「数も品質も」口約束 → 検収基準・SLIを契約に明記
- 面接遅延:紹介で一次面接を出すのに5営業日超 → 週次固定枠+72時間ルールで歩留まり改善
- 母集団が不足:RPO導入時に求人票のMust/Wantが未定義 → JDテンプレで要件を言語化
KPI・ダッシュボード(モデル)
- Time to Fill(起票→入社)/面接通過率(書類→一次→最終)
- オファー承諾率・辞退率(要因:年収・勤務地・シフト)
- 90日定着率(返金保証期間と連動)
- 採用単価(CAC):総コスト÷入社数
- RPOでは業務KPI(面接設定リードタイム、No-show率、面接官応答SLA)
よくある質問(FAQ)
Q. 紹介と派遣、製造業ではどちらが主流ですか?
A. 恒常戦力・専門職は紹介、季節変動や欠員は派遣。役割が異なるため併用が一般的です。
Q. 紹介料率30%は高い?
A. 年収レンジ・希少性・スピードの価値で判断。返金保証と合わせて総コストで比較しましょう。
Q. 請負と派遣の線引きは?
A. 指揮命令権と成果責任の所在。請負は請負先が自ら指揮し成果に責任、貴社が直接指揮するなら派遣です。
Q. RPOを入れるメリットは?
A. 面接設定のスピードアップ、母集団強化、ダッシュボード化など運用KPIが改善。多拠点・多職種で特に効きます。
Q. 地方工場や夜勤の採用はどれが適切?
A. 条件設計が整っていれば紹介で恒常戦力を確保。短期の欠員は派遣、ラインごと外部化なら請負が有効です。
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