韓国において、全就業者に占める製造業の割合が15.2%と過去最低を記録したことが報じられました。特に若年層の減少が顕著であり、この動向は、同様の課題を抱える日本の製造業にとっても重要な示唆を含んでいます。
韓国製造業の雇用構造に変化、比率は過去最低へ
先般の報道によれば、韓国の製造業における雇用者数が全就業者に占める割合は15.2%となり、過去最低の水準にまで落ち込んだとのことです。国の基幹産業である製造業において、その担い手が相対的に減少し続けているという事実は、産業構造の大きな変化を示唆しています。経済成長を牽引してきた製造業の現場から、人材が他の産業へ流出している構図が浮かび上がります。
特に深刻化する若年層の「製造業離れ」
今回の報告で特に注目すべきは、若年層の雇用が大幅に減少している点です。報道によると、若年層の雇用は前年比で61,000人減少し、これは2014年以来で最大の下げ幅であるとされています。かつては安定した雇用の受け皿であった製造業が、現代の若い世代にとっては必ずしも魅力的な選択肢ではなくなっている可能性が考えられます。これは、労働環境や働き方の価値観の変化、あるいは他産業の成長といった複合的な要因が絡み合っていると推察されます。日本の製造現場でも同様の課題は長年指摘されており、決して対岸の火事として看過できる問題ではありません。
日本の現場から見た考察
この韓国の状況は、日本の製造業が直面している、あるいはこれからさらに深刻化するであろう課題を先取りしていると捉えることができます。少子高齢化による労働人口の減少に加え、若者の製造業に対するイメージや価値観の変化は、我が国においても人材確保を困難にする大きな要因です。特に、熟練技術者がリタイアの時期を迎える中で、若手への技能承継は喫緊の課題となっています。若年層の流入が滞ることは、単なる人手不足に留まらず、長年培ってきた現場の知見や技術、いわゆる「暗黙知」が途絶えてしまうリスクを内包しています。安定した雇用という従来の魅力だけでは、優秀な人材を惹きつけ、定着させることが難しくなっている現実を直視する必要があるでしょう。
日本の製造業への示唆
今回の報道から、日本の製造業が改めて認識し、取り組むべき点を以下に整理します。
1. 労働環境の魅力向上と情報発信:
3K(きつい、汚い、危険)といった旧来のイメージを払拭し、安全でクリーンな職場環境の整備はもちろんのこと、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したスマートファクトリー化を進め、知的で創造的な仕事であることを積極的に発信していく必要があります。柔軟な勤務体系やキャリアパスの提示など、現代の価値観に合った働き方の提供も不可欠です。
2. 技能承継の仕組み化とデジタル技術の活用:
ベテランの技能を個人の経験だけに頼るのではなく、組織の資産として形式知化することが急務です。マニュアルの動画化、AR(拡張現実)を活用した遠隔指導、熟練者の動きをデータ化する技術など、デジタルツールを駆使した効率的かつ効果的な技能承継の仕組みを構築することが求められます。
3. 省人化・自動化への継続的な投資:
労働人口の減少は避けられない構造的な問題です。人にしかできない付加価値の高い業務に人材を集中させるためにも、ロボットやAIを活用した自動化・省人化への投資は、もはや選択肢ではなく必須の経営課題と言えます。これにより、生産性を維持・向上させると同時に、作業者の負担軽減にも繋がります。
4. 中長期的な人事・採用戦略の見直し:
短期的な欠員補充に留まらず、10年後、20年後を見据えた戦略的な人材の確保・育成計画が重要です。多様な人材が活躍できるダイバーシティの推進や、一度離職した人材を再雇用する制度など、あらゆる可能性を視野に入れた人事戦略を再構築する時期に来ています。


コメント