米国向け化粧品輸出の注意点:FDA施設登録の更新期限(2026年7月1日)に関する解説

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米国で販売される化粧品を製造・加工する事業者は、2026年7月1日までにFDA(米国食品医薬品局)への施設登録を更新する必要があります。これは新しい法律に基づく初めての更新義務であり、日本の関連事業者も対応が求められます。本記事では、この新規制の背景と実務上のポイントを解説します。

新しい化粧品規制「MoCRA」と施設登録更新の義務化

米国では2022年に「化粧品規制近代化法(MoCRA: Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022)」が成立しました。この法律は、米国内で流通する化粧品の安全性を高めることを目的としており、製造施設に対してFDAへの登録を義務付けるなど、多くの新しい要件を定めています。

このMoCRAの規定に基づき、米国向けに化粧品を製造または加工するすべての施設は、FDAへの登録が義務付けられました。そして今回、その登録情報を定期的に更新する義務の一環として、最初の更新期限が2026年7月1日と定められた次第です。これは、すでに初回登録を済ませた事業者にとっても、初めて迎える更新手続きとなります。

更新の対象となる事業者と実務上の留意点

今回の更新義務の対象となるのは、「米国で販売される化粧品の製造または加工を行う施設」です。これには、日本国内にある工場も含まれます。自社ブランド製品を輸出しているメーカーはもちろん、米国のブランドから製造を受託しているOEM/ODMメーカーも対象となるため、自社の取引内容を改めて確認することが重要です。

この更新手続きは、電子申請システムを通じて行われることが想定されます。期限が2026年と聞くとまだ先のように感じられるかもしれませんが、規制対応には周到な準備が不可欠です。特に、日本の製造現場においては、以下の点を早期に確認・準備しておくことが望ましいでしょう。

まず、社内における本件の担当部署・担当者を明確に定めることです。品質保証部門や薬事申請部門が主導するケースが多いと考えられますが、製造部門や海外営業部門との密な連携も欠かせません。規制の要求事項を正確に理解し、必要な情報を収集・整理する体制を整える必要があります。

次に、登録情報に間違いがないか、最新の状態になっているかを確認するプロセスです。工場の名称や住所、製造品目といった基本情報はもちろんのこと、MoCRAが要求するその他の情報についても、正確性を期す必要があります。申請内容に不備があれば、米国内での販売に支障をきたす恐れもあります。

日本の製造業への示唆

今回のFDAによる施設登録更新の義務化は、化粧品業界に限定された動きですが、我々日本の製造業全体にとって重要な教訓を含んでいます。グローバル市場で事業を展開する上で、海外の法規制の動向を常に把握し、迅速に対応していくことの重要性が改めて示されたと言えるでしょう。

今回の要点を、今後の実務への示唆として以下に整理します。

1. 海外の法規制動向の常時監視体制の構築
輸出先国の法規制は、予告なく変更されることがあります。特に、安全基準や環境規制に関する変更は、製造プロセスやサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。主要な輸出先国については、公的機関の発表や業界情報を定期的に収集・分析する体制を整えることが、事業継続リスクの管理につながります。

2. 規制対応を「コスト」でなく「競争力」と捉える視点
こうした規制への対応は、一見すると管理コストの増加に思えます。しかし、迅速かつ的確に対応できる体制を持つことは、取引先からの信頼を高め、結果として事業機会の拡大につながります。特に品質や安全性に対する要求が厳しい市場においては、確実な規制遵守体制が企業の競争力そのものとなり得ます。

3. 部門横断での情報共有と準備
法規制の変更は、品質保証や法務部門だけの問題ではありません。製造現場でのプロセス変更や、営業部門による顧客への説明、さらには経営層による投資判断にも関わってきます。関連情報をタイムリーに社内で共有し、部門横断で対応計画を策定・実行することが肝要です。

4. 余裕を持ったスケジュールでの着手
今回の更新期限は2026年7月1日ですが、申請準備には想定以上の時間がかかることも少なくありません。情報の収集、内容の確認、社内承認、そして実際の申請作業と、各ステップを考慮し、期限から逆算した現実的なスケジュールを早期に立て、着手することが求められます。

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