異業種の「プロダクション」と「マネジメント」統合に学ぶ、これからのものづくり

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海外のエンターテイメント業界で、制作(プロダクション)とマネジメントを一体で手掛ける新会社が設立されたという報道がありました。一見、製造業とは無関係に思えるこの動きですが、実は私たちの事業モデルや組織のあり方を考える上で、興味深い示唆を含んでいます。

元記事の概要:エンターテイメント業界における事業形態の変化

先日報じられたのは、エンターテイメント業界の著名なプロデューサーが長年のパートナーシップを発展的に解消し、新たに制作(Production)とマネジメントを統合した会社を立ち上げたというニュースです。ここで言う「プロダクション」とは映画やテレビ番組の制作を、「マネジメント」は主にクリエイターやプロジェクトの管理を指します。価値を生み出す「制作現場」と、その価値を最大化するための「運営・管理機能」を一つの傘下に収め、より機動的で一貫した事業展開を目指す動きと読み取ることができます。

製造業における「生産」と「経営」の連携

この話を日本の製造業に置き換えて考えてみましょう。私たちにとっての「プロダクション」は、言うまでもなく製品を生み出す「生産」活動そのものです。そして「マネジメント」は、工場運営、品質管理、サプライチェーン管理、さらには人材育成や経営戦略といった広範な領域を包含します。日本の製造業は、これら「生産」と「経営」の各機能が高度に専門化・分業化することで、世界に誇る高い品質と生産性を実現してきました。

しかし、市場の要求が多様化し、製品ライフサイクルが短縮化する現代において、両者のより緊密な連携が不可欠となっています。設計部門の意図が正しく生産現場に伝わっているか、市場のフィードバックが迅速に品質改善や次期開発に活かされているか、といった部門間の連携こそが、企業の競争力を左右する重要な要素となっているのです。

事業モデルとしての「製販一体」の再考

今回の異業種の事例は、価値創造の源流である「つくる機能」と、それを事業として成立させ成長させる「経営機能」を、分断されたものとしてではなく、一体のものとして捉え直すことの重要性を示唆しています。これは、製造業において長年言われてきた「製販一体」や「技術経営(MOT)」の考え方にも通じるものです。

優れた技術を持つエンジニアが経営的視点を身につけることの価値、あるいは、生産現場の実情を深く理解したリーダーが経営の舵取りを担うことの重要性は、論を俟ちません。今回のニュースは、組織の形として、その理想をよりダイレクトに追求しようとする一つの試みとして捉えることができるかもしれません。また、長年の協業関係から独立して新会社を設立するという点は、大企業で培われた知見を持つ人材がスピンアウトし、よりスピード感のある事業体を立ち上げるという、昨今の事業創出の流れとも重なります。

日本の製造業への示唆

今回の異業種のニュースから、日本の製造業が学ぶべき点を以下のように整理しました。自社の組織や事業のあり方を振り返る一助となれば幸いです。

1. 生産と経営の再統合:
優れた「ものづくり(プロダクション)」の価値を市場で最大化するためには、それを支える「経営・管理(マネジメント)」との連携が不可欠です。組織の壁を取り払い、開発、生産、品質管理、営業、経営企画といった各部門が、より一体となって戦略を遂行する体制の構築が求められます。

2. 技術者の経営参画とリーダー育成:
現場を熟知した技術者やリーダーが、より経営に近い視点を持つための機会提供や教育が重要です。自社の技術が持つ本質的な価値を理解し、それを事業として成長させることのできる人材こそが、次の時代を担うリーダーとなります。

3. 新たな事業創出モデルの可能性:
大企業で経験を積んだ人材が独立・スピンアウトし、専門性と機動力を両立した新しい事業体を立ち上げる動きは、製造業においても有効な選択肢となり得ます。硬直化した組織構造や意思決定プロセスを見直し、外部との連携や新たな挑戦を許容する文化の醸成が、企業の持続的成長につながるでしょう。

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