ブラジル政府は、長期にわたり国外に滞在する外国人の居住許可を取り消す措置を厳格化する一方、新たに技術専門家向けの就労ビザを承認しました。この変更は、ブラジルに生産拠点を持ち、従業員を派遣している日本企業の人事・労務管理に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
長期不在者の永住権取り消しを厳格化
ブラジル法務・公安省の発表によると、正当な理由なく継続して2年以上ブラジル国外に滞在した外国人に対し、永住権を含む居住許可を取り消す措置の執行が開始されました。これは既存の規則ではありますが、その運用がより厳格化されたことを意味します。これまで、業務の都合でブラジルと日本、あるいは第三国を長期間行き来していた駐在員やその家族が、意図せず居住許可を失うリスクが生じることになります。
特に、複数国の拠点を統括するマネージャーや、長期の技術指導で他拠点へ出張する技術者などは注意が必要です。企業の人事部門は、ブラジル赴任者の国外滞在日数を正確に把握し、管理する体制を再点検する必要があるでしょう。赴任計画や人事ローテーションを策定する上でも、この「2年ルール」を念頭に置くことが不可欠となります。
一方で、技術分野の専門家向けビザを新設
今回の制度変更は、規制強化の側面だけではありません。同時に、科学、技術、イノベーション分野における高度な専門性を持つ人材を対象とした、新しい就労ビザ(VITEM V)が承認されました。これには、元記事でも触れられているように、生産管理(Production Management)の専門家も含まれる可能性があります。
この動きは、ブラジルが国内産業の高度化を目指し、国外から専門知識を持つ人材を積極的に誘致しようとする意図の表れと見ることができます。日本の製造業にとっては、これまでビザ取得のハードルが高かった専門技術者やDX推進担当者などを、よりスムーズにブラジル拠点へ派遣できる好機となるかもしれません。現地の生産性向上や品質改善、スマートファクトリー化などを目的とした人材派遣が、従来よりも行いやすくなることが期待されます。
日本の製造業への示唆
今回のブラジルにおけるビザ・居住許可制度の変更は、現地で事業を展開する日本企業にとって、以下の二つの側面から実務的な対応を求めるものです。
1. 駐在員管理の厳格化とリスク対応
永住権を持つ駐在員であっても、2年以上の国外滞在で許可が取り消されるリスクを全社的に共有し、注意喚起を徹底する必要があります。人事部門は、対象となる従業員の渡航履歴や滞在日数を管理する仕組みを構築・強化し、意図しない資格失効を防がなくてはなりません。長期出張や他国への一時的な異動が伴う場合は、事前に専門家へ相談することが賢明です。
2. 高度専門人材活用の好機
新設された技術者向けビザは、日本から高度な専門知識を持つ人材を派遣する上で追い風となります。生産管理、自動化技術、品質管理、ITインフラ構築などの専門家を送り込むことで、ブラジル拠点の競争力強化を図るチャンスと捉えることができます。現地のニーズと本社の技術力を結びつける人材戦略を、改めて検討する良い機会と言えるでしょう。
海外拠点の法制度やその運用は、予告なく変更されることがあります。現地の最新情報を常に収集し、事業運営や人材配置への影響を迅速に評価・対応していくことが、グローバルで事業を継続する上で極めて重要です。


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