中国製造業、1月PMIは依然縮小圏ながら底堅さも示す – ハイテク分野は拡大を維持

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中国国家統計局が発表した2024年1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2となり、好不況の節目である50を4ヶ月連続で下回りました。しかし、数値は前月から改善しており、特に生産活動とハイテク分野では拡大基調が維持されるなど、複雑な様相を呈しています。

依然として縮小圏にあるものの、前月から改善

2024年1月の中国の製造業PMIは49.2と、前月の49.0から0.2ポイント上昇しました。PMIは50を上回ると「拡大」、下回ると「縮小」を示す景況感の指標であり、4ヶ月連続で50を下回ったことは、製造業全体としては依然として厳しい状況にあることを示唆しています。しかし、市場予測をわずかに上回り、数値が改善したことは、景況感の悪化に一定の歯止めがかかった可能性を示しています。

生産は拡大を維持、背景に春節前の需要

PMIを構成する主要な指数を見ると、生産指数は51.3と、前月から1.1ポイント上昇し、8ヶ月連続で拡大圏を維持しました。これは、2月の春節(旧正月)の長期休暇を前にした増産や、一部の分野での需要回復が背景にあるものと考えられます。日本の製造現場においても、中国の春節前の駆け込み生産やそれに伴う物流の混乱は毎年注意すべき点であり、この時期の生産指数の上昇は季節的な要因を差し引いて冷静に評価する必要があります。

一方で、需要の動向を示す新規受注指数は49.0と、前月から0.3ポイント改善したものの、依然として縮小圏にとどまっています。このことから、生産活動は堅調である一方、国内需要の本格的な回復にはまだ力強さが見られない状況がうかがえます。

ハイテク製造業の堅調さと、企業規模による格差

業種別に見ると、ハイテク製造業のPMIが51.1となり、3ヶ月連続で拡大圏を維持した点は注目に値します。特に設備製造業や消費財関連が全体の景況感を下支えしている構図です。これは、中国政府が推進する新エネルギー車(NEV)や先端技術分野への投資が、関連産業の活動を活発にしていることの表れかもしれません。

しかし、企業規模別に見ると、大企業のPMIが50.4と拡大圏に復帰したのに対し、中堅企業は48.9、小規模企業は47.2と、いずれも縮小圏で推移しています。これは、景気回復の恩恵が大企業に集中し、多くの中小サプライヤーは依然として厳しい経営環境にあることを示しています。日本のメーカーが中国のサプライヤーと取引する際には、こうした企業規模による景況感の差を念頭に置く必要があるでしょう。

今後の見通しと課題

非製造業に目を向けると、サービス業が好調で、非製造業PMIは50.7と拡大圏を維持しました。しかし、不動産市場の低迷や地方政府の債務問題といった構造的な課題は依然として残っており、中国経済の先行きには不透明感が漂います。専門家の間では、持続的な景気回復のためには、より踏み込んだ内需刺激策が必要との見方が広がっています。

日本の製造業への示唆

今回の発表から、日本の製造業関係者は以下の点を実務的な示唆として捉えることができるでしょう。

1. サプライチェーンにおけるリスクの再評価:
中国からの部品調達や生産委託において、生産活動自体は当面、底堅く推移する可能性が高いと考えられます。しかし、需要の弱さや企業規模による景況感の格差は、取引先の経営状況に影響を及ぼす可能性があります。特に中小規模のサプライヤーについては、与信管理や納期管理の精度を一段と高めることが求められます。

2. 中国市場戦略の精緻化:
市場としての中国を見る場合、製造業全体としては力強さを欠くものの、ハイテク分野や一部の消費財など、局所的には成長している分野が存在します。自社製品がどのセグメントに属するのかを再分析し、市場の濃淡を見極めた上で、販売戦略や製品開発の方針を検討することが重要です。

3. マクロ指標の継続的な監視:
中国経済は緩やかな回復を目指す一方、多くの課題を抱えており、その動向は引き続き不安定です。PMIのような月次のマクロ経済指標を継続的に注視し、その変化が自社の事業に与える影響を常に分析・評価する体制を維持することが、不確実性の高い時代におけるリスク管理の基本となります。楽観も悲観もせず、客観的なデータに基づき冷静に事業環境を判断していく姿勢が不可欠です。

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