インド2026年度予算案に見る製造業推進とインフラ投資の継続性

global

インドのシタラマン財務相が発表した2026年度連邦予算案では、引き続きインフラへの重点投資と製造業の推進が柱となる方針が示されました。財政規律を維持しつつも、持続的な成長を目指すインド政府の姿勢は、グローバルなサプライチェーンにおけるインドの役割を考える上で重要な意味を持ちます。

財政規律と成長戦略の両立を目指す予算案

先般発表されたインドの2026年度連邦予算案は、国の経済運営における重要な方向性を示すものです。ニルマラ・シタラマン財務相の発表によれば、今回の予算案は「財政規律(Fiscal Prudence)」を保ちながら、「インフラ投資の拡大(Infra Surge)」と「製造業の推進(Manufacturing Push)」を継続することが大きな特徴となっています。これは、無謀な財政出動に頼るのではなく、的を絞った投資によって持続可能な経済成長を実現しようという、インド政府の堅実な姿勢の表れと見ることができます。

インフラ整備がもたらすサプライチェーンへの好影響

インドにおけるインフラ投資の継続は、製造業にとって極めて重要な意味を持ちます。道路、港湾、鉄道、電力網といった産業基盤の整備は、国内の物流効率を大幅に改善させます。これまで多くの日本企業がインドでの事業展開において課題としてきた、輸送コストの高さやリードタイムの長さといった問題が、インフラ整備の進展によって着実に解消に向かうことが期待されます。これにより、工場運営における部品調達から製品出荷まで、サプライチェーン全体の安定性と効率性が向上し、QCD(品質・コスト・納期)の改善に直結する可能性を秘めています。

「Make in India」政策の継続と生産拠点としての魅力

「製造業の推進」という方針は、モディ政権が長年掲げてきた「Make in India」政策や、特定の品目の国内生産を奨励するPLI(生産連動型インセンティブ)スキームの継続を意味するものと考えられます。政府による一貫した支援策は、インドを単なる巨大消費市場としてだけでなく、グローバル市場に向けた生産・輸出拠点として再評価する動きを加速させるでしょう。特に、電子機器や自動車部品、医薬品といった分野では、今後も外資企業の投資を呼び込むための環境整備が進むと予想されます。ただし、実際の投資判断にあたっては、税制や法規制、労務関連の具体的な運用を注視していく必要があります。

日本の製造業への示唆

今回のインドの予算案から、日本の製造業が読み取るべき実務的な示唆を以下に整理します。

1. サプライチェーン多様化の有力な選択肢:
地政学的なリスク分散の観点から「チャイナ・プラスワン」が模索される中、政府主導で産業基盤の強化を進めるインドの重要性は増しています。インフラ整備の進捗と各種インセンティブ制度を組み合わせ、自社のグローバル生産体制におけるインドの位置づけを再検討する好機と言えるでしょう。

2. 事業環境の継続的なモニタリング:
予算案の大枠だけでなく、今後具体化される個別の政策や法制度の改正が、事業運営に直接的な影響を与えます。特に物流網の整備状況、電力の安定供給、工業団地の開発動向といったハード面に加え、許認可プロセスの簡素化や税制の安定性といったソフト面の変化を継続的に把握することが不可欠です。

3. 長期的な視点での拠点戦略:
インドでの事業は、依然として複雑な課題を伴いますが、今回の予算案が示す通り、国としての成長ポテンシャルと政府の強力な後押しは続いています。短期的な成果のみを追うのではなく、現地の文化や商慣習を深く理解し、人材育成にも投資しながら、長期的な視点で腰を据えた拠点戦略を構築することが成功の鍵となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました