この記事の要点: 米国アリゾナ州立大学(ASU)のイーサン・デガン=ニリ准教授が、米国非破壊試験協会(ASNT)のフェローに選出されました。同氏は、製品を破壊せずに内部の欠陥や品質を評価する非破壊検査・評価(NDT/E)分野において、製造プロセス中にリアルタイムで品質を監視する「インプロセス品質管理」や、ロボット・AIを活用した自動検査技術の研究をリードしており、製造業の品質保証と生産性向上に大きく貢献しています。
ニュースのポイント
- 製造プロセス中にリアルタイムで欠陥を検知するインプロセス品質管理技術を開発
- 生体模倣音響センシングやロボット検査、積層造形(3Dプリンタ)向け監視を研究
- 産学軍が連携し、VRやAIを活用した次世代の製造・検査人材育成コンソーシアムを主導
背景
従来の非破壊検査は、製品が完成した後の最終工程で行われるのが一般的でした。しかし、この方法では不良品が発生した際に手戻りや廃棄のコストが大きくなります。デガン=ニリ准教授は、前職のゼネラル・エレクトリック(GE)時代から積層造形(アディティブ・マニュファクチャリング)における音響ベースのインプロセス監視研究に着手し、製造と検査を一体化させるアプローチを追求してきました。
何が起きたのか
デガン=ニリ准教授が率いるASUのISNDEラボでは、生体模倣音響センシング、ロボットによる自動検査、そして高度製造業向けのインプロセス品質管理を統合する研究が進められています。これにより、部品の製造途中でリアルタイムに異常を検知し、品質を担保することが可能になります。さらに同氏は、米国国防省の資金援助を受け、防衛産業の製造メーカー等と共同で「C2Dコンソーシアム」を設立。VRやAI、シミュレーションツールを用いた柔軟な教育プラットフォームを構築し、すでに300人以上の高度製造・検査技術者を育成しています。
製造業・生産管理への見方
日本の製造現場においても、熟練検査員の不足や、積層造形などの新技術導入に伴う品質保証の難しさが課題となっています。本記事で紹介された「製造プロセス内でのリアルタイム非破壊検査」は、後工程での不良発覚を防ぎ、歩留まりを劇的に向上させる可能性を秘めています。また、自動化された生産ラインにロボット検査やAIを組み込むことで、検査工程の省人化と標準化が同時に達成できます。さらに、VRやデジタルツールを用いた教育手法は、現場の多能工化や技術伝承のスピードアップにおいて非常に参考になるアプローチです。
現場で確認したいポイント
- 自社の検査工程において、完成後検査から製造プロセス内(インプロセス)監視へ移行できる工程はあるか
- 積層造形や精密加工などの重要工程で、音響や振動を用いたリアルタイム品質監視の導入余地はあるか
- 検査員の高齢化や不足に対し、VRやシミュレーションを活用した教育・訓練体制の構築を検討しているか
確認しておきたい点
本記事で紹介されているインプロセス品質管理や音響ベースの監視技術は、特定の製造プロセス(積層造形など)で実証が進められている段階であり、すべての加工法や材質にそのまま適用できるわけではありません。自社の対象部品への適用可能性は個別検証が必要です。
出典情報
| 出典 | news.asu.edu |
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| 公開日時 | 2026-08-31T21:20:00Z |
| 元記事 | news.asu.eduで読む |