この記事の要点: 米自動車大手のフォードが、品質管理体制の劇的な再構築を進めています。過去10年間で582回という業界最多のリコールを記録した同社は、2023年の新型トラック生産時における品質問題を契機に、製造、サプライチェーン、エンジニアリングを含む産業システム部門の幹部の3分の2を更迭・刷新しました。顧客への不具合流出を防ぐため、出荷を止めてでも品質を作り込む体制への移行を急いでいます。
ニュースのポイント
- 過去10年で582回のリコールを記録し、品質管理の改善が急務となっていた
- 2023年の新型トラック生産時に品質問題が発生し、出荷を止め数万台を留め置いた
- 製造、開発、サプライチェーン部門の幹部の3分の2を入れ替え、組織風土を刷新
背景
フォードは長年、競合他社に比べてリコール件数の多さが課題となっていました。特に2023年、同社の主力車種である第5世代「Fシリーズ スーパーデューティー」の導入時に、ソフトウェアやハードウェアの不具合が多発しました。従来であればそのまま出荷して後からリコール対応していたような状況に対し、同社は出荷を一時停止し、数万台の完成車をヤードに留め置いて手直しする決断を下しました。
何が起きたのか
この手直しによる痛みを契機に、ジム・ファーレイCEOは組織の抜本改革に着手しました。製造、設計、調達などの産業システム全体において、妥協を許容する従来の幹部層を更迭し、他部門との協調や問題解決に集中できる人材へ3分の2を入れ替えました。他者への責任転嫁を排除し、トヨタ自動車のような「問題がないことこそが最大の課題(No problem, Big problem)」とする、完璧な品質を追求する文化への変革を目指しています。
製造業・生産管理への見方
本事例は、製造業における「品質ファースト」の文化定着には、経営陣の強い意志と痛みを伴う組織改革が必要であることを示しています。出荷遅延による損失を受け入れてでも不良品を市場に出さないという判断や、責任追及ではなく根本解決を促す組織風土への移行は、日本の生産管理や品質保証の現場にとっても極めて重要な示唆を与えます。特に、同社が今後導入予定のEV向け簡易組立プロセスなど、新しい生産技術を立ち上げる上で、この品質基盤の再構築が成否を分ける鍵となります。
現場で確認したいポイント
- 自社の品質基準において「この程度なら良い」という妥協が常態化していないか
- 不具合が発生した際、責任のなすり合いではなく部門横断での根本解決が機能しているか
- 新規の生産技術やプロセスを導入する前に、品質管理の土台が十分に整っているか
確認しておきたい点
フォードは初期品質調査で改善の兆しを見せているものの、今後導入予定の安価なEV向け新組立システムにおいて、この新しい品質管理体制が実際に機能するかどうかは現時点では未知数です。
出典情報
| 出典 | AutoNotion |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-08-30T18:00:04-04:00 |
| 元記事 | AutoNotionで読む |