この記事の要点: インド政府は、総額625億ルピー(約1100億円)規模の新たな「携帯電話製造スキーム(MPMS)」を導入した。2020年に開始された生産連動型インセンティブ(PLI)制度により、インドはスマートフォンの一大組立拠点へと成長したが、新制度ではその次の段階を目指す。単なる受託組立や輸入代替にとどまらず、国内での設計、研究開発(R&D)、主要部品の現地調達を促進し、2027年半ばまでに強力な自国ブランドを誕生させる計画だ。
ニュースのポイント
- 5年間で625億ルピーを投じ、国内ブランド、特許、製品設計、R&Dを強力に支援する
- 売上高に応じて2.25%〜5%のインセンティブを付与し、国内部品調達でさらに上乗せする
- 製品設計とR&D活動に対して、追加で3%のインセンティブを支給する仕組みを導入
背景
インドはPLI制度の導入以降、スマートフォンの国内生産比率を2014-15年度の26%から、2024年12月時点で99.2%にまで引き上げた。製造拠点数は2014年の2カ所から300カ所以上に急増し、世界第2位の携帯電話製造国となっている。しかし、これまでは外資系ブランドの受託組立(EMS)が中心であり、付加価値の高い設計や基幹部品の製造は依然として海外に依存していることが課題であった。
何が起きたのか
新制度「MPMS」は、2030-31年度までの5年間で実施され、累計生産額39兆ルピーを目指す。メーカーに対して売上に応じたインセンティブを提供するだけでなく、国内製部品の採用や、国内での製品設計・R&Dに対して追加の優遇措置を設けている点が特徴だ。これにより、電子部品製造スキーム(ECMS)による部品の現地生産化と、MPMSによる国内調達需要の創出という相乗効果を狙い、サプライチェーン全体の現地化を加速させる。
製造業・生産管理への見方
製造業や生産管理の視点において、この政策は「組立工場」から「開発・設計を含めた総合的な製造ハブ」への転換を意味する。インド国内に生産拠点を持つ、あるいは進出を検討している企業にとっては、現地での部品調達率(ローカライゼーション)を高めることで、より多くのインセンティブを享受できるチャンスとなる。一方で、高度な設計開発人材の確保や、現地サプライヤーの品質管理体制の育成が、今後の生産立ち上げにおける重要な鍵となる。
現場で確認したいポイント
- インド国内での部品調達比率を高めることで、どの程度の優遇措置を受けられるか
- 現地での設計・R&D体制を構築するためのエンジニア確保や技術移転のロードマップ
- 電子部品製造スキーム(ECMS)との連携による、現地サプライチェーンの信頼性評価
確認しておきたい点
本制度は製造エコシステムの高度化を促すものの、グローバルに通用するブランドや技術特許の確立には長期的な投資が必要であり、短期間で劇的な成果が出るわけではない点に留意が必要である。
出典情報
| 出典 | The Times of India |
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| 公開日時 | 2026-08-29T18:43:00+05:30 |
| 元記事 | The Times of Indiaで読む |