この記事の要点: 中国発のウルトラファストファッション大手シーイン(Shein)が、ベトナム・ホーチミン近郊に構築した大規模な保税物流ハブを大幅に縮小していることが明らかになりました。当初計画された15ヘクタールの敷地は、関税制度の変更や現地生産の効率不足などを背景に約6ヘクタールへと縮小され、人員削減も進んでいます。同社は強みである中国・広東省のサプライチェーン基盤への投資を再び強化する方針に転換しています。
ニュースのポイント
- ベトナムの保税物流拠点を15ヘクタールから約6ヘクタールへ大幅に縮小
- 米国の免税措置(デ・ミニミス)撤廃や新たな関税がベトナムのコスト優位性を相殺
- 中国サプライヤーの超高速・小ロット生産体制に代わる拠点の確保が困難と判明
背景
シーインは2024年末、米中貿易摩擦や関税リスクを回避するため、ベトナムを主要な輸出拠点とする計画を始動させ、中国の主要サプライヤーにベトナムへの生産移管を促しました。しかし、2025年7月に米国が800ドル以下の小口貨物に対する免税措置(デ・ミニミス)を全面撤廃したことで、ベトナムからの輸出メリットが急減。さらに、強制労働防止に関連する新たな関税措置なども重なり、ベトナム生産の優位性が失われました。
何が起きたのか
ベトナム拠点では人員の大量解雇が始まっており、一部のチームでは在籍者が4分の1以下に減少しています。関税メリットの縮小に加え、現地での労働力確保や生産効率の低さも課題となりました。シーインのビジネスモデルは、1着あたりわずか1元(約0.15ドル)という極めて薄い利益幅で、数日以内に小ロット生産・再注文に対応する超高速サイクルに依存しています。ベトナムに進出した中国系工場の一部は、生産効率の低さから採算が合わず、すでに中国国内へ回帰しています。
製造業・生産管理への見方
本件は、製造業における「チャイナ・プラスワン」などの分散戦略が、単に人件費や関税率の比較だけで成立するわけではないことを示しています。シーインが誇る「超高速・多品種極小ロット」の生産体制は、中国・広東省(広州市番禺区など)に密集する無数の零細工場ネットワークと、それを支える熟練労働者の柔軟な働き方があって初めて機能するものです。サプライチェーンの移転には、物流インフラだけでなく、現場の生産効率やエコシステム全体の即応力が不可欠であることを証明しています。
現場で確認したいポイント
- 代替生産国における労働者の確保状況や、長時間・柔軟なシフトへの対応力を検証しているか
- 移転先国と主要輸出国の間における、最新の関税制度や免税措置の変更リスクを把握しているか
- 小ロット・短納期に対応するためのサプライヤー集積度が、移転先エリアで十分に確保されているか
確認しておきたい点
シーインは中国国内への回帰とスマートサプライチェーンへの巨額投資を表明していますが、米欧の免税措置撤廃による需要減退や、競合プラットフォーム(TemuやAmazonなど)へのサプライヤー流出といった新たな課題に直面しています。
出典情報
| 出典 | The China-Global South Project |
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| 公開日時 | 2026-08-10T03:34:26Z |
| 元記事 | The China-Global South Projectで読む |