この記事の要点: KPMGカナダの最新調査によると、カナダの製造業者の4割がすでに生産拠点を米国に移転したか、移転を検討していることが明らかになりました。貿易を巡る不確実性や競争圧力の高まりを受け、多くの企業が設備投資や研究開発費を抑制・延期する「耐え忍ぶモード」に突入しています。米国市場への依存度が極めて高いカナダの製造業にとって、今後の成長投資をどこで行うかという長期的な意思決定の岐路に立たされています。
ニュースのポイント
- 42%の企業がすでに米国へ生産を移転したか、2年以内の移転を計画・検討している
- 57%が経済や貿易の不確実性を理由に、設備投資(CAPEX)を一時停止・削減・中止した
- 関税回避やサプライチェーン最適化、低い運営コストを求めて米国移転を選択している
背景
カナダの製造業はGDPの10%以上を占める重要産業ですが、米国・メキシコ・カナダ協定(CUSMA)を巡る議論の活発化や、米国の関税脅威により先行きが不透明となっています。前年は「生き残り」が議論されていましたが、今年は「耐え忍び」の段階に移行しており、企業は長期的な投資や研究開発を控えて様子見を続ける限界に達しつつあります。
何が起きたのか
調査対象となったカナダの製造企業275社のうち、52%が現在は「耐え忍ぶモード」で操業していると回答しました。57%が設備投資を、42%が研究開発費を削減または一時停止しています。また、企業の61%が「米国市場へのアクセスなしには存続できない」と回答しており、極めて高い米国依存度が浮き彫りになりました。米国移転の主な動機には、高額な輸入関税の回避、不確実性の低減、運営コストの削減、税制面での優位性、そしてサプライチェーンの統合と最適化が挙げられています。
製造業・生産管理への見方
サプライチェーンの再構築や生産拠点の最適化を検討する製造業にとって、北米市場における地政学的リスクと関税対策は極めて重要なテーマです。特に米国が2026年6月に発令した税関執行強化に関する大統領令は、外国に本社を置く企業に対し、自社名義での輸入に一定の有形資産を米国内に維持することを求めており、これがカナダ企業の米国移転を後押しする要因となっています。生産管理や調達の責任者は、北米内での物流・関税ルールが自社の供給網に与える影響を注視する必要があります。
現場で確認したいポイント
- 北米向け輸出入において、CUSMAなどの自由貿易協定の適合要件を満たしているか
- 米国の税関執行強化など、最新の法規制が自社の物流や取引関係に与える影響の有無
- 関税リスクや運営コストの上昇に備え、代替となる生産拠点や供給網の選択肢があるか
確認しておきたい点
本調査は2026年5月にカナダの製造企業275社を対象に実施されたものであり、すべての北米進出企業に同一の傾向が当てはまるわけではありません。また、企業の80%は本社をカナダに維持する意向を示しています。
出典情報
| 出典 | KPMG |
|---|---|
| 公開日時 | 2026-07-07T16:25:39.541Z |
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