米オレゴン州、先端製造業への税制優遇措置を提案 – 半導体分野などでの国際競争力強化を目指す

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米国オレゴン州議会において、半導体などの先端製造業を対象とした新たな税制優遇措置が提案されました。この動きは、経済安全保障の観点から重要性が増す先端分野において、国内外の企業誘致と投資を促進する狙いがあるものと見られます。

米オレゴン州で審議される新たな産業支援策

米国の法律・税務専門メディアLaw360によると、オレゴン州の上院財政・歳入委員会において、法案「S.B. 1586」の修正案として、先端製造業(Advanced Manufacturing)に対する新たな税制優遇制度の創設が提案されました。詳細はまだ審議段階ですが、州内での設備投資や雇用創出を促進するためのインセンティブとなることが想定されます。

ここで言う「先端製造業」とは、一般に、情報技術、自動化、新素材、バイオテクノロジーなどを駆使した高度な製造プロセスや製品群を指します。特にオレゴン州は、インテル社などが拠点を構える「シリコンフォレスト」として知られており、半導体産業の集積地です。今回の提案は、こうした既存の産業基盤をさらに強化し、米国内での半導体サプライチェーン強化を目指す連邦政府の動き(CHIPS法など)と連動したものと考えられます。

世界で激化する企業誘致と投資競争

近年、経済安全保障の観点から、半導体やバッテリーといった戦略的に重要な製品のサプライチェーンを国内や同盟国内に確保しようとする動きが世界的に加速しています。各国・各地域は、大規模な補助金や税制優遇措置をパッケージとして提示し、企業の工場建設(ファブ)を誘致する競争を繰り広げています。

今回のオレゴン州の動きも、こうしたグローバルな競争環境の中で、自州の魅力を高めるための重要な一手と位置づけられます。企業側からすれば、巨額の初期投資を必要とする先端分野の工場建設において、こうした公的な支援は投資判断を左右する極めて重要な要素となります。これは、日本において熊本県へのTSMC進出に際し、国や県が大規模な支援を行った事例とも共通する構図です。

日本の製造現場への影響

こうした海外の政策動向は、日本の製造業にとっても決して他人事ではありません。特に、海外に生産拠点を持つ企業や、グローバルなサプライチェーンに深く関わる企業にとっては、各国のインセンティブ制度が自社の競争力や立地戦略に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

また、部材や製造装置を供給するサプライヤー企業にとっても、顧客である大手メーカーの投資先がどこになるかは、自社の事業展開を考える上で重要な情報となります。米国内での生産回帰や新たな工場建設が進めば、それに伴う新たなビジネスチャンスが生まれる一方、既存の取引関係が変化する可能性も念頭に置く必要があります。

日本の製造業への示唆

今回の米オレゴン州の動きから、日本の製造業関係者が留意すべき点を以下に整理します。

1. グローバルな立地戦略の再評価
世界各国が先端製造業の誘致に乗り出しており、税制や補助金といった事業環境は常に変化しています。今後の設備投資や生産拠点の選定にあたっては、こうした各国の政策動向を精密に分析し、総合的な視点で意思決定を行うことがこれまで以上に重要になります。

2. サプライチェーンの動向把握
主要な顧客や競合他社が、どの地域でどのような支援を受けて投資を行っているかを把握することは、自社の事業戦略を立てる上で不可欠です。サプライチェーンの上流から下流まで、地政学的なリスクや各国の産業政策がもたらす変化を常に監視し、機敏に対応できる体制を整えることが求められます。

3. 国内政策への関心と働きかけ
国際的な企業誘致競争において、日本国内の支援制度が競争力を維持できているか、常に検証する必要があります。企業としても、業界団体などを通じて、国際競争力のある事業環境の整備を政府や自治体に働きかけていく視点が重要となるでしょう。自社の持続的な成長のためには、マクロな政策環境の変化を自社の経営課題として捉えることが肝要です。

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