英国メーカーのISO14001認証取得に見る、品質・生産と環境管理の統合

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英国のはんだ関連製品メーカーSolderKing社が、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001の認証を取得しました。この動きは、環境対応を品質管理や生産管理の仕組みと一体化させ、企業活動全体の最適化を図る重要なステップとして捉えることができます。

品質・生産管理と並列での環境管理体制の構築

英国を拠点とするはんだ付け関連材料の専門メーカー、SolderKing社が、環境マネジEントシステムに関する国際規格「ISO 14001」の認証を取得したことが報じられました。同社はこの認証取得を、これまで構築してきた品質管理や生産管理の仕組みと連携させ、体系的な環境管理体制を整えるための重要な一歩と位置づけています。

日本の製造現場においても、品質管理のためのISO 9001は広く普及していますが、環境管理のためのISO 14001は、一部の大企業や化学物質を多く扱う企業が中心となっている側面もあります。しかし、近年の世界的な環境意識の高まりや、サプライチェーン全体での環境負荷低減要求(スコープ3排出量の管理など)を背景に、SolderKing社のような専門分野の中小規模メーカーにとっても、環境マネジメントは無視できない経営課題となっています。

管理システムの統合がもたらす実務上の利点

今回の事例で注目すべきは、環境管理を「独立した特別な活動」としてではなく、「品質や生産管理と連携・統合すべきもの」として捉えている点です。多くの工場では、品質、環境、労働安全衛生といった複数のマネジメントシステムが個別に運用され、文書管理の重複や内部監査の負担増大といった課題を抱えているケースが少なくありません。

これらの管理システムを「統合マネジメントシステム(IMS: Integrated Management System)」として運用することで、経営方針との一貫性を保ちながら、各システムの運用を効率化することが可能になります。例えば、環境側面の管理(使用エネルギーの削減、廃棄物の削減など)は、生産現場におけるコスト削減活動と直結します。また、品質管理で培われた是正処置や継続的改善のプロセスは、環境目標の達成にもそのまま応用することができるでしょう。このように、各システムを有機的に連携させることで、組織全体のパフォーマンス向上に繋がるのです。

サプライチェーンにおける競争力としての環境認証

特に欧州向けの取引においては、ISO 14001をはじめとする環境関連の認証が、取引の必須条件となるケースが増えています。これは、自社だけでなく、サプライヤーも含めたバリューチェーン全体で環境責任を果たすという考え方が浸透しているためです。SolderKing社のようなBtoB企業にとって、今回の認証取得は、顧客からの信頼を獲得し、グローバルなサプライチェーンにおける競争力を維持・強化するための戦略的な一手であったと推察されます。

これは、日本の部品・素材メーカーにとっても他人事ではありません。自社の高い技術力や品質に加え、「環境に配慮した生産体制を構築している」という事実が、新たな取引機会を創出する重要な要素となりつつあります。

日本の製造業への示唆

今回のSolderKing社の事例から、日本の製造業が学ぶべき点を以下に整理します。

1. 管理システムの「縦割り」からの脱却
品質(Q)、コスト(C)、納期(D)に環境(E)や安全(S)を加えた経営指標の管理は、もはや常識となっています。ISO 9001や14001といったマネジメントシステムも、個別に運用するのではなく、統合的な視点で見直し、業務プロセスの重複をなくし効率化を図ることが、現場の負担を軽減し、より実効性のある活動に繋がります。

2. 環境管理の「コスト」から「価値」への転換
環境対応を規制遵守のためのコストと捉えるのではなく、省エネや廃棄物削減によるコスト競争力の強化、企業ブランドの向上、そしてサプライチェーンにおける取引条件の優位性確保といった、事業価値を高めるための戦略的投資と位置づける視点が重要です。

3. 認証取得をゴールにしない風土づくり
ISO認証は、取得することが目的ではありません。その仕組みを、現場が主体となって行うQCサークル活動やカイゼン提案といったボトムアップの改善活動と結びつけ、継続的にPDCAサイクルを回していくためのツールとして活用することが肝要です。認証を維持・更新するプロセスを通じて、組織の環境意識と改善能力を継続的に高めていくことが、真の目的と言えるでしょう。

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