米国の農業専門誌が、ひまわり生産者向けのオンライン会議の開催を報じました。一見、日本の製造業とは直接関係のないニュースですが、ここにはサプライチェーンの源流を管理し、事業リスクを低減するための重要なヒントが隠されています。
サプライチェーンの源流を理解する重要性
先日、米国の農業専門誌であるHigh Plains Journalが、ひまわりの生産者や営農アドバイザーを対象としたオンライン会議の開催を告知しました。この会議は、ひまわりの生産管理に関する最新情報を共有することを目的としています。我々、日本の製造業に携わる者にとって、ひまわりの生産技術は馴染みの薄い分野かもしれません。しかし、この動きは、自社のサプライチェーンをより深く理解し、管理する上で示唆に富んでいます。
食品メーカーにとってひまわり油が重要な原材料であることは言うまでもありませんが、化学、化粧品、その他多くの産業においても、その源流を辿れば農産物に行き着くケースは少なくありません。製品の品質、コスト、そして安定供給は、すべてこの「源流」である一次産業の状況に大きく左右されます。天候不順、病害の発生、あるいは新たな生産技術の導入といった現地の変化は、遠く離れた日本の工場の生産計画にまで影響を及ぼす可能性があるのです。
「生の情報」に触れる価値と情報収集の進化
この記事が伝えるような生産者向けの会議は、統計データや市況レポートからは得られない、貴重な「一次情報」の宝庫です。現地の生産者が直面している具体的な課題、土壌や気候の変化に対する肌感覚、新しい農法への期待と不安など、現場の「生の声」に触れることは、サプライチェーンの健全性を測る上で極めて重要です。これは、私たちが海外の部品サプライヤーや生産委託先の工場を訪問し、現場の状況を自らの目で確認する活動と本質的に同じと言えるでしょう。
また、この会議が「Zoom」というオンライン形式で実施される点も見逃せません。かつては、こうした現地の情報を得るためには、多くの時間とコストをかけて現地に赴く必要がありました。しかし現在では、デジタルツールを活用することで、地理的な制約を越えて、迅速かつ低コストで重要な情報にアクセスすることが可能になっています。これは、グローバルに広がるサプライチェーンを持つ日本の製造業にとって、情報収集のあり方を大きく変える可能性を秘めています。
日本の製造業への示唆
今回のニュースから、私たちは以下の点を実務への教訓として汲み取ることができます。
1. サプライチェーンを「源流」まで遡って捉える
自社が使用する原材料が、どこで、誰によって、どのように生産されているのか。その生産地の経済的、社会的、そして自然環境的な動向にまで関心を払うことが、予測困難な時代における調達リスクの低減につながります。特に、代替の難しい重要原材料については、その源流まで遡ったサプライチェーンマップを描き、リスクを可視化することが求められます。
2. 一次情報へのアクセス経路を多様化する
商社やサプライヤーから提供される情報だけに頼るのではなく、原材料の生産者団体が発信する情報や、現地の業界カンファレンス、専門メディアなど、より現場に近い情報源を積極的に活用する姿勢が重要です。オンラインで参加できるセミナーやウェビナーは、そのための有効な手段となり得ます。
3. 異業種の動向から学ぶ姿勢を持つ
製造業という枠にとらわれず、農業や鉱業といった一次産業が、どのように情報を共有し、技術革新を進め、リスクに対応しようとしているのかを知ることは、自社の事業運営を客観的に見直す良い機会となります。安定した生産活動は、安定した原材料調達なくしては成り立ちません。その意味で、畑や鉱山で起きていることは、決して他人事ではないのです。


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