米製造業、10ヶ月連続の活動縮小。景況感の底は近いか?

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米国の製造業活動を示す主要経済指標が、2023年12月も10ヶ月連続で縮小領域にあることが明らかになりました。長期化する不振の背景と、今後の見通しについて、日本の製造業の視点から解説します。

米国製造業、10ヶ月連続で活動縮小

米国サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2023年12月の製造業景況感指数(PMI)は、景気拡大・縮小の節目である50を10ヶ月連続で下回りました。これは、米国の製造業が依然として厳しい状況に置かれていることを示しています。この長期にわたる活動縮小は、コロナ禍後の急激な需要回復が一巡し、調整局面に入っていることを物語っています。

不振の背景にある複数の要因

この活動縮小の背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げ政策が、企業の設備投資意欲を抑制しています。金利の上昇は借入コストを増加させるため、工場や機械への新規投資が手控えられがちになります。第二に、多くの企業で在庫調整が続いていることが挙げられます。コロナ禍の供給網混乱を背景に積み増した在庫が、需要の鈍化とともに過剰となり、新規の生産や発注を抑制する要因となっています。ISMの報告でも、特に「新規受注」の項目が低水準で推移しており、需要の弱さがうかがえます。

今後の見通しと「底打ち」の可能性

一方で、一部では「景気の底を打った」との見方も出ています。12月のPMI指数は、前月からわずかに改善しており、縮小ペースが鈍化している兆候と捉えることもできます。また、FRBが利上げサイクルの終了を示唆し、2024年中の利下げに転じる可能性が高まっていることも、先行きの景況感を支える材料です。金利が低下すれば、企業の投資マインドが改善し、需要が回復に向かうことが期待されます。しかし、本格的な回復には、積み上がった在庫の解消が進み、最終製品の需要が明確に上向くことが不可欠であり、その道のりは平坦ではないかもしれません。

日本の製造業への示唆

この米国の動向は、我々日本の製造業にとっても決して他人事ではありません。以下に、実務上のポイントを整理します。

1. 対米輸出への影響を注視する
米国は、日本の工作機械や自動車部品、半導体関連素材など、多くの工業製品にとって重要な輸出先です。米国の製造業の不振は、これらの製品に対する需要の減少に直結します。自社の受注残や引き合いの状況を注視し、米国市場の動向を慎重に見極める必要があります。

2. サプライチェーン全体の在庫水準の確認
米国の顧客や流通段階での在庫調整が続いている間は、たとえ最終需要が回復し始めても、我々の工場への発注がすぐに増加するとは限りません。サプライチェーン全体の在庫レベルを把握し、需要予測の精度を高める努力が求められます。過剰生産を避け、適正な生産計画を維持することが重要です。

3. 中長期的な視点での事業戦略
短期的な需要変動に一喜一憂するだけでなく、中長期的な視点を持つことが肝要です。例えば、今回の景気後退局面を、生産現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化投資を進める好機と捉えることもできます。また、特定の市場への依存度を下げ、事業ポートフォリオを多様化させることも、将来の景気変動に対する抵抗力を高める上で有効な戦略と言えるでしょう。

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