中国経済、サービス業は減速も製造業PMIは予想外の上昇 – 2023年12月財新PMI分析

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2024年1月上旬に発表された2023年12月の中国財新PMI(購買担当者景気指数)は、サービス業の成長が6ヶ月ぶりの低水準に減速する一方、製造業は市場予想に反して拡大を示すなど、まだら模様の景況感を示しました。中国経済の現状を、日本の製造業の視点から解説します。

サービス業と製造業で異なる景況感

2024年1月4日にS&Pグローバルが発表した2023年12月の財新中国サービス業PMIは52.9となり、11月の51.5から上昇したものの、市場予想を下回り、過去半年で最も低い伸びとなりました。新規受注の伸びが鈍化したことなどが背景にあると見られます。一方で、同日に発表された財新中国製造業PMIは50.8と、11月の50.7から僅かに上昇し、市場予想(50.4)を上回りました。これで製造業PMIは3ヶ月連続で好不況の分かれ目である50を上回り、生産活動が拡大基調にあることを示しています。

これらサービス業と製造業を合わせた総合PMIは52.6となり、11月の52.9からは若干低下したものの、依然として拡大圏を維持しています。この結果は、中国経済が全体として緩やかな回復軌道にあるものの、セクターによって回復ペースにばらつきがある「まだら模様」の状態であることを物語っています。

内需主導の回復と、依然として厳しい雇用環境

PMIの詳細を見ると、需要の回復は主に国内需要に支えられていることがわかります。製造業、サービス業ともに新規輸出受注は縮小圏にあり、世界経済の減速が中国の輸出環境に影響を及ぼしている様子がうかがえます。我々日本の製造業にとっても、中国を生産拠点として第三国へ輸出するサプライチェーンを構築している場合、この外需の弱さは注視すべき点です。

また、雇用については依然として厳しい状況が続いています。企業はコスト削減に注力しており、雇用の拡大には慎重な姿勢を崩していません。これは、中国国内の個人消費が本格的に回復するには、まだ時間を要する可能性を示唆しています。

デフレ圧力と改善する企業心理

懸念されるのは、デフレ圧力です。製造業・サービス業ともに、原材料費などの投入価格は上昇しているものの、顧客に転嫁できておらず、販売価格は低下傾向にあります。これは中国国内の競争が激化していることを示しており、利益確保が難しい事業環境であることを物語っています。これは、中国市場で事業を展開する日系企業にとっても、同様の課題と言えるでしょう。

その一方で、明るい兆候も見られます。企業の景況感を示す指数は7ヶ月ぶりの高水準に改善しました。これは、中国政府が打ち出している一連の景気刺激策が今後効果を発揮することへの期待感の表れと解釈できます。ただし、不動産市場の低迷や地方政府の債務問題など、依然として構造的な課題は残っており、楽観はできません。

日本の製造業への示唆

今回の財新PMIの結果から、日本の製造業関係者が読み取るべき実務的な示唆を以下に整理します。

1. 中国経済を「まだら模様」と捉える視点:
中国経済をひとくくりに「良い」「悪い」と判断するのではなく、セクターや地域によって回復度合いが異なることを認識する必要があります。特に、製造業の底堅さは、サプライチェーンを構成する上で重要な情報です。自社の取引先や拠点がどのセクターに属するかを把握し、きめ細かく状況を分析することが求められます。

2. サプライチェーンにおける中国製造業の動向注視:
製造業PMIが拡大圏を維持していることは、中国国内の工場が稼働を続けていることを意味します。部品や材料の調達先として中国を利用している企業にとっては、当面の供給能力については一定の安心材料と捉えられます。しかし、今後の政策や内需の動向次第で状況は変化するため、継続的な情報収集とサプライヤーとの密な連携が不可欠です。

3. 中国国内市場における価格競争への備え:
販売価格の低下傾向は、中国市場におけるデフレ圧力の強さを示しています。現地で製品を販売する場合、厳しい価格競争に直面することを覚悟しなければなりません。コスト競争力を高める努力と同時に、品質や技術力で差別化を図り、価格以外の価値を訴求する戦略が一層重要になります。

4. 政策動向への感度を高める:
企業の景況感は、政府の政策への期待に支えられている側面が強いです。今後、中国政府がどのような追加の景気刺激策や産業支援策を打ち出すかによって、事業環境は大きく変わる可能性があります。特に金融政策やインフラ投資、特定の産業分野への支援策などの動向を注視し、自社への影響を迅速に評価できる体制を整えておくべきでしょう。

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